副腎褐色細胞腫の自然破裂により急速な転機をたどった1例

症例は,40歳代男性。急激に発症した心窩部痛を主訴に,救急搬送された。造影CT検査にて,左腎頭側に径10cm大の一部被膜を保持した腫瘍と血腫を認め,内部に造影剤の流出があり,左副腎腫瘍破裂による後腹膜出血と考え,血管撮影検査を行った。中副腎動脈からの造影剤の流出を認めたが,造影中に血圧の不安定性を認め,褐色細胞腫を疑った。褐色細胞腫では,塞栓術が禁忌との報告があるため保存的加療を行ったが,腹部コンパートメント症候群(abdominal compartment syndrome:以下,ACS)も併発したため,止血・減圧が必要と判断し塞栓術を施行後,緊急手術を施行した。永久病理組織学的検査で,褐色...

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Published in日本腹部救急医学会雑誌 Vol. 33; no. 1; pp. 161 - 165
Main Authors 有田, 道典, 藤崎, 成至, 河内, 雅年, 江藤, 高陽, 清水, 誠一, 向井, 正一朗, 先本, 秀人, 福田, 三郎, 高橋, 信
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本腹部救急医学会 2013
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ISSN1340-2242
1882-4781
DOI10.11231/jaem.33.161

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Summary:症例は,40歳代男性。急激に発症した心窩部痛を主訴に,救急搬送された。造影CT検査にて,左腎頭側に径10cm大の一部被膜を保持した腫瘍と血腫を認め,内部に造影剤の流出があり,左副腎腫瘍破裂による後腹膜出血と考え,血管撮影検査を行った。中副腎動脈からの造影剤の流出を認めたが,造影中に血圧の不安定性を認め,褐色細胞腫を疑った。褐色細胞腫では,塞栓術が禁忌との報告があるため保存的加療を行ったが,腹部コンパートメント症候群(abdominal compartment syndrome:以下,ACS)も併発したため,止血・減圧が必要と判断し塞栓術を施行後,緊急手術を施行した。永久病理組織学的検査で,褐色細胞腫と診断された。術後は集学的治療を行ったが,第6病日に死亡した。副腎褐色細胞腫の自然破裂例は極めてまれな疾患であり,その予後は不良である。今回われわれは,急速な転機をたどった副腎褐色細胞腫破裂の1例を経験したので,若干の文献的考察を加え報告する。
ISSN:1340-2242
1882-4781
DOI:10.11231/jaem.33.161