好酸球性副鼻腔炎の診断基準に関する検討―JESREC基準と当科基準での比較
JESREC Studyによって好酸球性副鼻腔炎(ECRS)の新たな診断基準(JESREC基準)が提唱された。ECRSの臨床的特徴について,これまで当科でECRSと診断してきた当科基準と比較検討した。2008年1月から2014年12月の7年間に,当科で初回の両側ESSを行った両側慢性副鼻腔炎321例を対象とした。男性206例,女性115例,平均年齢50歳(12~85歳)。JESREC基準は,両側3点,鼻茸2点,篩骨洞優位あるいは汎副鼻腔病変(E/M比≧1)2点,末梢血好酸球(%)(2< ≦5 4点,5< ≦10 8点,10< 10点)の合計が11点以上。当科基準は,両側鼻閉かつ嗅覚障害,両側鼻...
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Published in | 日本鼻科学会会誌 Vol. 55; no. 1; pp. 27 - 33 |
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Main Authors | , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本鼻科学会
2016
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Subjects | |
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ISSN | 0910-9153 1883-7077 |
DOI | 10.7248/jjrhi.55.27 |
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Summary: | JESREC Studyによって好酸球性副鼻腔炎(ECRS)の新たな診断基準(JESREC基準)が提唱された。ECRSの臨床的特徴について,これまで当科でECRSと診断してきた当科基準と比較検討した。2008年1月から2014年12月の7年間に,当科で初回の両側ESSを行った両側慢性副鼻腔炎321例を対象とした。男性206例,女性115例,平均年齢50歳(12~85歳)。JESREC基準は,両側3点,鼻茸2点,篩骨洞優位あるいは汎副鼻腔病変(E/M比≧1)2点,末梢血好酸球(%)(2< ≦5 4点,5< ≦10 8点,10< 10点)の合計が11点以上。当科基準は,両側鼻閉かつ嗅覚障害,両側鼻茸,末梢血好酸球≧7%,E/M比≧1を全て満たすものをECRSとした。両基準ともに満たすA群,JESREC基準のみ満たすB群,当科基準のみ満たすC群,いずれも満たさないD群とした。患者内訳,JESREC基準点,末梢血好酸球(%),嗅覚(基準嗅力検査の平均認知域値,静脈性嗅覚検査),画像所見(Lund-Mackay systemによるCTスコア,E/M比),喘息,アスピリン喘息(AIA)合併の有無について比較検討した。患者内訳はA群64例,B群130例,C群0例,D群127例であった。JESREC基準点,末梢血好酸球,平均認知域値,CTスコア,E/M比いずれの項目においてもA群はD群より有意に高値であった。AIA合併例はA群(16%,10/64例)に有意に多かった。A群とB群あわせたECRS群(n=194)においても,いずれの項目もnon-ECRS群(D群)より有意に高値であった。JESREC基準はECRSの診断に有用であった。 |
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ISSN: | 0910-9153 1883-7077 |
DOI: | 10.7248/jjrhi.55.27 |