乳癌温存術後の放射線照射により誘発された乳房血管肉腫の1例

放射線照射により誘発された血管肉腫は特徴的な臨床所見・画像所見に乏しく,細胞診や針生検でも確定診断は困難とされている.確立された治療法はなく,外科的切除が基本であり,一般的に予後不良である.血管肉腫診断時,78歳女性.2007年に左乳癌に対し,左乳房部分切除術・センチネルリンパ節生検を施行した.術後温存乳房に対する放射線照射を施行後,内分泌療法中であった.2011年に左乳房皮膚腫瘍を認めたため前医にて皮膚生検が施行されたが診断に至らず,当院紹介となった.放射線照射により誘発された血管肉腫,または皮膚再発を考慮して左乳房切除術・腋窩リンパ節サンプリングを施行した.病理組織検査は血管肉腫の診断であ...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 75; no. 4; pp. 889 - 894
Main Authors 辻江, 正樹, 矢野, 浩司, 三木, 宏文, 箕畑, 順也, 水本, 紗千子, 小西, 宗治
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2014
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.75.889

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Summary:放射線照射により誘発された血管肉腫は特徴的な臨床所見・画像所見に乏しく,細胞診や針生検でも確定診断は困難とされている.確立された治療法はなく,外科的切除が基本であり,一般的に予後不良である.血管肉腫診断時,78歳女性.2007年に左乳癌に対し,左乳房部分切除術・センチネルリンパ節生検を施行した.術後温存乳房に対する放射線照射を施行後,内分泌療法中であった.2011年に左乳房皮膚腫瘍を認めたため前医にて皮膚生検が施行されたが診断に至らず,当院紹介となった.放射線照射により誘発された血管肉腫,または皮膚再発を考慮して左乳房切除術・腋窩リンパ節サンプリングを施行した.病理組織検査は血管肉腫の診断であった.また,腫瘍は完全切除されていた.臨床経過も考慮して,放射線照射により誘発された血管肉腫と診断した.無治療にて経過観察を行っていたが術後1年で右膝関節転移・胸膜播種を認め,1カ月後に永眠された.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.75.889