腹腔鏡補助下にヘルニア修復術を行った閉鎖孔ヘルニア嵌頓の1例

症例は87歳女性,急激な右鼠径部痛を主訴に当院を受診した。腹部理学的所見では,右鼠径部膨隆や腹膜刺激症状を認めなかった。腹部造影CT検査より,閉鎖孔ヘルニア嵌頓と診断した。腹腔鏡下に嵌頓腸管を整復した。嵌頓腸管は壊死していなかった。引き続いてKugel法でヘルニア修復術を行った。術後経過は良好で術後7日目に退院となった。閉鎖孔ヘルニア嵌頓の術式についてはさまざまなアプローチが存在し,近年は腹腔鏡下ヘルニア修復術の報告も散見される。全身状態が安定している場合は,腹腔鏡の併用により,全腸管を観察し嵌頓腸管の整復も可能である。腸管壊死が認められなければ,腹腔内の状態に合わせて腹腔鏡下にヘルニア修復術...

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Published in日本腹部救急医学会雑誌 Vol. 38; no. 5; pp. 907 - 909
Main Authors 安部, 智之, 望月, 哲矢, 別木, 智昭, 天野, 尋暢, 中原, 雅浩
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本腹部救急医学会 31.07.2018
Subjects
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ISSN1340-2242
1882-4781
DOI10.11231/jaem.38.907

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Summary:症例は87歳女性,急激な右鼠径部痛を主訴に当院を受診した。腹部理学的所見では,右鼠径部膨隆や腹膜刺激症状を認めなかった。腹部造影CT検査より,閉鎖孔ヘルニア嵌頓と診断した。腹腔鏡下に嵌頓腸管を整復した。嵌頓腸管は壊死していなかった。引き続いてKugel法でヘルニア修復術を行った。術後経過は良好で術後7日目に退院となった。閉鎖孔ヘルニア嵌頓の術式についてはさまざまなアプローチが存在し,近年は腹腔鏡下ヘルニア修復術の報告も散見される。全身状態が安定している場合は,腹腔鏡の併用により,全腸管を観察し嵌頓腸管の整復も可能である。腸管壊死が認められなければ,腹腔内の状態に合わせて腹腔鏡下にヘルニア修復術を行うことも許容できる。腹腔鏡補助下閉鎖孔ヘルニア修復術の1例を経験したので,文献的考察を加えて,報告する。
ISSN:1340-2242
1882-4781
DOI:10.11231/jaem.38.907