Geriatric Nutritional Risk Indexを指標としたバンコマイシンによる腎機能障害発現割合と血中トラフ濃度の比較検討
重症感染症では,低蛋白血症や低アルブミン血症を合併していることが多く感染症治療を難治化させる要因とされている.GNRIは,%IBWとAlbを用いた高齢者の栄養評価法で,重症化を判断する指標として有用性が示されているが,VCMによる腎機能障害との関係性については明らかとなっていない.本研究は,GNRIとVCMによる腎機能障害発現割合との関係性について調査し,目標トラフ域設定の個別化にGNRIを活用する方法論を検討した.対象は,VCMの投与を受けた293例とした.解析方法は,腎機能障害非発現群/発現群を分けるGNRI閾値をCART分析,ROC曲線により探索した.得られた閾値を使用しHigh GNR...
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          | Published in | 日本環境感染学会誌 Vol. 35; no. 6; pp. 223 - 232 | 
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| Main Authors | , , , , , | 
| Format | Journal Article | 
| Language | Japanese | 
| Published | 
            一般社団法人 日本環境感染学会
    
        25.11.2020
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| Subjects | |
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| ISSN | 1882-532X 1883-2407  | 
| DOI | 10.4058/jsei.35.223 | 
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| Summary: | 重症感染症では,低蛋白血症や低アルブミン血症を合併していることが多く感染症治療を難治化させる要因とされている.GNRIは,%IBWとAlbを用いた高齢者の栄養評価法で,重症化を判断する指標として有用性が示されているが,VCMによる腎機能障害との関係性については明らかとなっていない.本研究は,GNRIとVCMによる腎機能障害発現割合との関係性について調査し,目標トラフ域設定の個別化にGNRIを活用する方法論を検討した.対象は,VCMの投与を受けた293例とした.解析方法は,腎機能障害非発現群/発現群を分けるGNRI閾値をCART分析,ROC曲線により探索した.得られた閾値を使用しHigh GNRI群とLow GNRI群の2群に分け,トラフ値<20 μg/mL群,20~25 μg/mL群,≧25 μg/mL群で生存時間解析を行った.High GNRI≧68群(163例)は,トラフ値<20群と20~25群では腎機能障害発現率に有意差はなかった(p=0.66).Low GNRI<68群(130例)では,トラフ値20~25群は,トラフ値<20群と比較して腎機能障害発現率は高かった(p<0.01).Low GNRI群は,安全性の面からトラフ値>20 μg/mLは推奨できないというガイドラインの結果と一致したが,High GNRI群ではトラフ値の上限を25 μg/mLまで許容できる可能性が示唆された. | 
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| ISSN: | 1882-532X 1883-2407  | 
| DOI: | 10.4058/jsei.35.223 |