93歳で異時性両側副腎転移を腹腔鏡下に切除した肝細胞癌の1例
高齢者肝細胞癌(以下,HCC)の異時性両側副腎転移に対し腹腔鏡下副腎摘出術が有効であった1例を経験した.症例は93歳,男性.2008年(86歳時),HCCに対しマイクロ波凝固壊死療法(MCN)を施行した.2009年,左副腎にHCC転移を認め,腹腔鏡下左副腎摘出術を施行した.2011年,HCC再発を認め,肝動脈化学塞栓療法(以下TACE)を施行した.2014年,CTにて右副腎にHCC転移を認め,グルココルチコイド補充下に腹腔鏡下右副腎摘出術を施行した.HCC初回手術から7年,現在再発なく生存中.両側異時性副腎転移に対し,その治療法選択は年齢や全身状態,様々な患者背景へ配慮が必要であったが,外科治...
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Published in | 日本臨床外科学会雑誌 Vol. 77; no. 3; pp. 614 - 617 |
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Main Authors | , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本臨床外科学会
2016
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Subjects | |
Online Access | Get full text |
ISSN | 1345-2843 1882-5133 |
DOI | 10.3919/jjsa.77.614 |
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Summary: | 高齢者肝細胞癌(以下,HCC)の異時性両側副腎転移に対し腹腔鏡下副腎摘出術が有効であった1例を経験した.症例は93歳,男性.2008年(86歳時),HCCに対しマイクロ波凝固壊死療法(MCN)を施行した.2009年,左副腎にHCC転移を認め,腹腔鏡下左副腎摘出術を施行した.2011年,HCC再発を認め,肝動脈化学塞栓療法(以下TACE)を施行した.2014年,CTにて右副腎にHCC転移を認め,グルココルチコイド補充下に腹腔鏡下右副腎摘出術を施行した.HCC初回手術から7年,現在再発なく生存中.両側異時性副腎転移に対し,その治療法選択は年齢や全身状態,様々な患者背景へ配慮が必要であったが,外科治療を施行し,経過良好であった.高齢者のHCCは増加傾向にあり21)~23),副腎転移に対する腹腔鏡下摘出術は低侵襲でQOL(quality of life)を考慮した有効な治療法と思われた1). |
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ISSN: | 1345-2843 1882-5133 |
DOI: | 10.3919/jjsa.77.614 |