副鼻腔結核例

症例は42歳女性,亜急性甲状腺炎で耳鼻咽喉科を受診した際に右膿性鼻汁を認め,副鼻腔単純CTで両側慢性副鼻腔炎を指摘され,経過観察していたが改善しないため内視鏡下副鼻腔手術(endoscopic sinus surgery, ESS)を他院で施行された。ESSで上顎洞に肉芽病変を認め,術後の再生検でZiehl-Neelsen染色陽性・液体培養陽性で副鼻腔結核の診断となった。肺に陰影があり,喀痰塗抹検査でもZiehl-Neelsen染色陽性であったので,結核病棟入院の上,抗結核薬全身投与を行い,喀痰塗抹陰性になったものの,画像上,副鼻腔陰影が残存するためESSを行った。摘出検体の結核菌培養・結核菌...

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Published in日本鼻科学会会誌 Vol. 55; no. 1; pp. 21 - 26
Main Authors 渡辺, 健太, 中屋, 宗雄, 渕上, 輝彦, 井上, 亜希, 木田, 渉
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本鼻科学会 2016
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ISSN0910-9153
1883-7077
DOI10.7248/jjrhi.55.21

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Summary:症例は42歳女性,亜急性甲状腺炎で耳鼻咽喉科を受診した際に右膿性鼻汁を認め,副鼻腔単純CTで両側慢性副鼻腔炎を指摘され,経過観察していたが改善しないため内視鏡下副鼻腔手術(endoscopic sinus surgery, ESS)を他院で施行された。ESSで上顎洞に肉芽病変を認め,術後の再生検でZiehl-Neelsen染色陽性・液体培養陽性で副鼻腔結核の診断となった。肺に陰影があり,喀痰塗抹検査でもZiehl-Neelsen染色陽性であったので,結核病棟入院の上,抗結核薬全身投与を行い,喀痰塗抹陰性になったものの,画像上,副鼻腔陰影が残存するためESSを行った。摘出検体の結核菌培養・結核菌DNA-PCR(以後,PCR)・Ziehl-Neelsen染色はいずれも陰性であった。摘出検体の結核菌培養陰性を確認し,抗結核薬の内服終了し,1年5ヶ月経過した現在病変の再発を認めていない。副鼻腔結核で抗結核薬投与にもかかわらず病変の退縮が乏しい際は,副鼻腔手術は治療効果判定も含めて,有効な手段と考えられた。また,難治性や診断のつかない鼻副鼻腔疾患では鼻副鼻腔結核も疑い,生検・培養・PCRを繰り返し行うことが重要と考えられた。
ISSN:0910-9153
1883-7077
DOI:10.7248/jjrhi.55.21