重症筋無力症合併小腸間膜リンパ節炎症性偽腫瘍型濾胞樹状細胞肉腫の1例

57歳,女性.眼瞼下垂・複視・構音障害・歩行障害を主訴に当院を受診し,重症筋無力症と診断された.腰椎評価目的のMRIで小腸間膜腫瘤を指摘され,診断的治療目的で腫瘍摘出術,小腸部分切除術を施行された. 腫瘍はCD21陽性の紡錘形細胞の増殖からなり,背景に高度のリンパ球浸潤を伴うことから,炎症性偽腫瘍型濾胞樹状細胞肉腫と診断された. 炎症性偽腫瘍型濾胞樹状細胞肉腫は極めて稀な腫瘍であり,多くは肝臓ないし脾臓に発生し,小腸間膜リンパ節に発生した症例は過去に報告されていない.また近年,腫瘍随伴症候群として,重症筋無力症との関連性が示唆されており,本症例においても両疾患が合併していることは,両疾患の関連...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 78; no. 3; pp. 527 - 531
Main Authors 北口, 大地, 大河内, 信弘, 佐藤, 泰樹, 小田, 竜也, 倉田, 昌直, 久倉, 勝治
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2017
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.78.527

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Summary:57歳,女性.眼瞼下垂・複視・構音障害・歩行障害を主訴に当院を受診し,重症筋無力症と診断された.腰椎評価目的のMRIで小腸間膜腫瘤を指摘され,診断的治療目的で腫瘍摘出術,小腸部分切除術を施行された. 腫瘍はCD21陽性の紡錘形細胞の増殖からなり,背景に高度のリンパ球浸潤を伴うことから,炎症性偽腫瘍型濾胞樹状細胞肉腫と診断された. 炎症性偽腫瘍型濾胞樹状細胞肉腫は極めて稀な腫瘍であり,多くは肝臓ないし脾臓に発生し,小腸間膜リンパ節に発生した症例は過去に報告されていない.また近年,腫瘍随伴症候群として,重症筋無力症との関連性が示唆されており,本症例においても両疾患が合併していることは,両疾患の関連を強く支持するものと考えられる. 重症筋無力症に合併した小腸間膜リンパ節発生の炎症性偽腫瘍型濾胞樹状細胞肉腫の1例を経験したので,文献的考察を加えて報告する.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.78.527