術前診断に苦慮した腫瘍内出血を伴う高分化型肝細胞癌の一例
症例は54歳男性.毎年受診していた職場健診エコーで初めて肝内腫瘍性病変を指摘された.血液生化学検査に異常はなく,肝炎ウイルスは陰性.肝S6に周囲に薄い低エコー帯を有する4 cm大の高エコー腫瘤がみられた.造影CTのplainで境界不明瞭な低吸収,動脈相で辺縁が肝実質と同程度に造影されるが内部には造影効果がなく,門脈相で辺縁は周囲と同程度に造影されるが内部に造影効果のない腫瘍として描出された.EOB-MRIの動脈相はCTと同様で,T1で低信号,T2では不均一な高信号を呈し一部液状の成分が疑われた.PET-CTでは腫瘤にFDGの集積はなく,AFP,PIVKA-II,CEA,CA19-9は正常範囲で...
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| Published in | 肝臓 Vol. 57; no. 2; pp. 89 - 96 |
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| Format | Journal Article |
| Language | Japanese |
| Published |
一般社団法人 日本肝臓学会
2016
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| Subjects | |
| Online Access | Get full text |
| ISSN | 0451-4203 1881-3593 |
| DOI | 10.2957/kanzo.57.89 |
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| Summary: | 症例は54歳男性.毎年受診していた職場健診エコーで初めて肝内腫瘍性病変を指摘された.血液生化学検査に異常はなく,肝炎ウイルスは陰性.肝S6に周囲に薄い低エコー帯を有する4 cm大の高エコー腫瘤がみられた.造影CTのplainで境界不明瞭な低吸収,動脈相で辺縁が肝実質と同程度に造影されるが内部には造影効果がなく,門脈相で辺縁は周囲と同程度に造影されるが内部に造影効果のない腫瘍として描出された.EOB-MRIの動脈相はCTと同様で,T1で低信号,T2では不均一な高信号を呈し一部液状の成分が疑われた.PET-CTでは腫瘤にFDGの集積はなく,AFP,PIVKA-II,CEA,CA19-9は正常範囲で,寄生虫抗体も陰性であった.診断的治療として肝S6亜区域切除術を行い,腫瘍内部に血腫を伴った高分化型肝細胞癌と診断された.背景肝には炎症や線維化はみられなかった.高分化型肝細胞癌に腫瘍内出血を合併することは稀である.若干の文献的考察を加えて報告する. |
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| ISSN: | 0451-4203 1881-3593 |
| DOI: | 10.2957/kanzo.57.89 |