集学的治療が奏効したリンパ節転移を伴った胃内分泌細胞癌の1例

症例は73歳,男性.貧血の原因精査で上部消化管内視鏡検査を施行し,胃体部小彎側の腫瘍生検で腺癌と診断された.腹部CTにて胃体小彎に高度リンパ節転移を認めたため,術前化学療法の方針とした.S-1/Cisplatin(CDDP)を2コース施行後,著明なリンパ節縮小を認め,胃全摘術・胆嚢摘出術を施行した.術後病理の免疫染色の結果,胃内分泌細胞癌,ypT3(SS),ypN0,M0,ypStage II Aの診断となった.術後化学療法は,肺小細胞癌の治療に準じ,Irinotecan(CPT-11)/CDDPを2コース施行した.術後6カ月で腫瘍マーカーの上昇を認めたため,S-1内服を追加したところ基準値内...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 80; no. 2; pp. 320 - 325
Main Authors 松下, 公治, 三原, 良明, 多賀谷, 信美
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2019
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.80.320

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Summary:症例は73歳,男性.貧血の原因精査で上部消化管内視鏡検査を施行し,胃体部小彎側の腫瘍生検で腺癌と診断された.腹部CTにて胃体小彎に高度リンパ節転移を認めたため,術前化学療法の方針とした.S-1/Cisplatin(CDDP)を2コース施行後,著明なリンパ節縮小を認め,胃全摘術・胆嚢摘出術を施行した.術後病理の免疫染色の結果,胃内分泌細胞癌,ypT3(SS),ypN0,M0,ypStage II Aの診断となった.術後化学療法は,肺小細胞癌の治療に準じ,Irinotecan(CPT-11)/CDDPを2コース施行した.術後6カ月で腫瘍マーカーの上昇を認めたため,S-1内服を追加したところ基準値内まで低下し,現在再発所見は認めていない.胃内分泌細胞癌は稀なため,治療方法は確立されておらず,予後不良である.今回われわれは,集学的治療が有効と思われる胃内分泌細胞癌の1例を経験したので報告する.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.80.320