粘液癌の像を呈した胆嚢原発印環細胞癌の1例

症例は54歳,女性.乳癌術後のフォローCTで胆嚢腫瘤を指摘された.病変は1cmを超え短期間での増大を認めたことから,胆嚢癌を疑い手術を施行した.術中所見では,病変周囲に播種や肝実質への浸潤を疑う病変はみられず,胆嚢床付近に硬結を触れたが漿膜の引きつれはなかった.術中迅速病理診断では胆嚢管切除断端陰性で,拡大胆嚢摘出術およびリンパ節郭清を施行した.病理組織診断は,粘液癌の像を示す印環細胞癌で,局所進展度はpT2(SS)であった.術後化学療法としてS-1を導入し,術後3カ月で無再発である.原発性胆嚢癌のうち,印環細胞癌は約1%と比較的稀な組織型であり,粘液癌の像を示す印環細胞癌は極めて稀で,本邦で...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 81; no. 11; pp. 2325 - 2330
Main Authors 永井, 健, 河田, 悠介, 熊澤, 慶吾, 青柳, 信嘉, 住谷, 隆輔, 小野, 英哉斗, 月本, 優美, 大出, 貴士
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2020
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.81.2325

Cover

More Information
Summary:症例は54歳,女性.乳癌術後のフォローCTで胆嚢腫瘤を指摘された.病変は1cmを超え短期間での増大を認めたことから,胆嚢癌を疑い手術を施行した.術中所見では,病変周囲に播種や肝実質への浸潤を疑う病変はみられず,胆嚢床付近に硬結を触れたが漿膜の引きつれはなかった.術中迅速病理診断では胆嚢管切除断端陰性で,拡大胆嚢摘出術およびリンパ節郭清を施行した.病理組織診断は,粘液癌の像を示す印環細胞癌で,局所進展度はpT2(SS)であった.術後化学療法としてS-1を導入し,術後3カ月で無再発である.原発性胆嚢癌のうち,印環細胞癌は約1%と比較的稀な組織型であり,粘液癌の像を示す印環細胞癌は極めて稀で,本邦では本症例が9例目である.印環細胞癌はリンパ節転移の頻度が高く予後不良とされており,本症例でもリンパ節に転移がみられた.胆嚢印環細胞癌の臨床病理学的特徴は十分解明されておらず,今後も症例の蓄積が必要と考える.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.81.2325