TAPP法を行った寛骨臼骨折観血的整復固定術後鼠径ヘルニアの1例
症例は43歳の男性.右寛骨臼骨折に対し,整形外科でIlioinguinal + Kocher-Langenbeck approachによる観血的整復固定術を施行されたが,術後に右鼠径ヘルニアを発症したため,整復固定術から約2年後にTAPP法を施行した.寛骨臼骨折に対するIlioinguinal approachは鼠径管後壁を切開し,腹膜前脂肪織ごと腹膜をよけて腸腰筋,外腸骨動静脈をテーピングし前方から骨折の整復と固定を行うため,術後合併症の一つに鼠径ヘルニアがある.整復固定術後の癒着も予想されたが,術中所見では腹腔内からのヘルニアの確認は容易であり,腹膜の切開剥離も可能であった.恥骨・Coop...
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Published in | 日本臨床外科学会雑誌 Vol. 81; no. 4; pp. 783 - 788 |
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Main Authors | , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本臨床外科学会
2020
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Subjects | |
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ISSN | 1345-2843 1882-5133 |
DOI | 10.3919/jjsa.81.783 |
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Summary: | 症例は43歳の男性.右寛骨臼骨折に対し,整形外科でIlioinguinal + Kocher-Langenbeck approachによる観血的整復固定術を施行されたが,術後に右鼠径ヘルニアを発症したため,整復固定術から約2年後にTAPP法を施行した.寛骨臼骨折に対するIlioinguinal approachは鼠径管後壁を切開し,腹膜前脂肪織ごと腹膜をよけて腸腰筋,外腸骨動静脈をテーピングし前方から骨折の整復と固定を行うため,術後合併症の一つに鼠径ヘルニアがある.整復固定術後の癒着も予想されたが,術中所見では腹腔内からのヘルニアの確認は容易であり,腹膜の切開剥離も可能であった.恥骨・Cooper靱帯・外腸骨動静脈周囲では癒着を認め剥離に難渋したが,ほぼ通常通り,メッシュの展開や固定,腹膜の修復が可能であった.寛骨臼骨折観血的整復固定術後の鼠径ヘルニアに対しTAPP法は有用であった. |
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ISSN: | 1345-2843 1882-5133 |
DOI: | 10.3919/jjsa.81.783 |