絞扼性腸閉塞に対する術前診断の検討

絞扼性腸閉塞は迅速かつ正確な診断が重要である。今回,腸閉塞手術例において絞扼性腸閉塞を早期診断するための因子を検討した。手術を施行して腸閉塞と診断された107例を対象として術中および病理検査所見から腸管虚血群と腸管非虚血群に分類し,臨床所見,血液生化学検査・動脈血ガス分析,腹部造影CT検査所見を比較・検討した。単変量解析では腹膜刺激症状,白血球数の異常,乳酸デヒドロゲナーゼの上昇,腹水,腸管血管の異常走行(収束,乱れ,whirl sign),腸間膜濃度の上昇,closed loop obstruction,腸管壁の造影不良の頻度が腸管虚血群で有意に高かった。多変量解析ではclosed loop...

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Published in日本腹部救急医学会雑誌 Vol. 39; no. 3; pp. 503 - 508
Main Authors 浅野, 博昭, 宇高, 徹総, 山本, 澄治, 松本, 尚也, 黒川, 浩典, 久保, 雅俊
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本腹部救急医学会 31.03.2019
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ISSN1340-2242
1882-4781
DOI10.11231/jaem.39.503

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Summary:絞扼性腸閉塞は迅速かつ正確な診断が重要である。今回,腸閉塞手術例において絞扼性腸閉塞を早期診断するための因子を検討した。手術を施行して腸閉塞と診断された107例を対象として術中および病理検査所見から腸管虚血群と腸管非虚血群に分類し,臨床所見,血液生化学検査・動脈血ガス分析,腹部造影CT検査所見を比較・検討した。単変量解析では腹膜刺激症状,白血球数の異常,乳酸デヒドロゲナーゼの上昇,腹水,腸管血管の異常走行(収束,乱れ,whirl sign),腸間膜濃度の上昇,closed loop obstruction,腸管壁の造影不良の頻度が腸管虚血群で有意に高かった。多変量解析ではclosed loop obstruction(P<0.001)が独立した腸管虚血の因子となった。絞扼性腸閉塞を早期診断するためには腹膜刺激症状,白血球数の異常,乳酸デヒドロゲナーゼの上昇,腹水,腸間膜濃度の上昇,closed loop obstructionに注目して評価することが重要である。
ISSN:1340-2242
1882-4781
DOI:10.11231/jaem.39.503