繰り返す腹痛の原因として考えられた腸間膜脂肪腫の1切除例

症例は69歳男性。心窩部痛・腰背部痛を主訴に当院を受診,腸炎と診断され帰宅となった。帰宅後に腹痛再燃し,翌早朝に再度当院を受診した。腹部造影CT検査で右下腹部に内部均一な低濃度腫瘤を認め脂肪腫が疑われた。腸管の通過障害の所見はなく,腹痛も消失したことから緊急手術の必要性は低いと考え,食事を開始すると,再び右下腹部痛が出現したため,準緊急手術の方針となった。術中所見は,小腸間膜内に辺縁平滑,弾性軟な黄色調の被膜を有する腫瘤を認め,画像所見からも脂肪腫と診断した。被膜を損傷しないように腫瘤を切除し,腸間膜欠損部位は縫合閉鎖した。術後経過良好で,術後5日目に軽快退院となった。腸間膜から発生する脂肪腫...

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Published in日本腹部救急医学会雑誌 Vol. 39; no. 3; pp. 563 - 566
Main Authors 安部, 智之, 別木, 智昭, 廣畑, 良輔, 奥田, 浩, 中原, 雅浩
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本腹部救急医学会 31.03.2019
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ISSN1340-2242
1882-4781
DOI10.11231/jaem.39.563

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Summary:症例は69歳男性。心窩部痛・腰背部痛を主訴に当院を受診,腸炎と診断され帰宅となった。帰宅後に腹痛再燃し,翌早朝に再度当院を受診した。腹部造影CT検査で右下腹部に内部均一な低濃度腫瘤を認め脂肪腫が疑われた。腸管の通過障害の所見はなく,腹痛も消失したことから緊急手術の必要性は低いと考え,食事を開始すると,再び右下腹部痛が出現したため,準緊急手術の方針となった。術中所見は,小腸間膜内に辺縁平滑,弾性軟な黄色調の被膜を有する腫瘤を認め,画像所見からも脂肪腫と診断した。被膜を損傷しないように腫瘤を切除し,腸間膜欠損部位は縫合閉鎖した。術後経過良好で,術後5日目に軽快退院となった。腸間膜から発生する脂肪腫はまれで,ときに急性腹症の原因になりうる。良性疾患であるが,完全摘出術後に再発することがあり,適切な治療介入と経過観察が必要である。
ISSN:1340-2242
1882-4781
DOI:10.11231/jaem.39.563