Interval appendectomyを基本方針とする急性虫垂炎の治療

当科では急性虫垂炎に対し,保存的治療後の腹腔鏡下interval appendectomy(IA)を基本方針としている。急性虫垂炎と診断された405症例のうち,ASA─PS class4と判断された3例と,患者希望等で急性期手術を選択した34例を除く368例に保存的治療を行い,全例が奏効軽快した。IAには急性期手術に比べ,(1)拡大・不要手術が避けられる,(2)手術合併症が減る,(3)待機中に悪性疾患などのチェックが可能─などの利点がある。術式変更がない,合併症がない,術後在院期間が4日以内という3つの条件でアウトカムを検討すると,急性期手術では29例中11例37.9%でアウトカム不良だったが...

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Published in日本腹部救急医学会雑誌 Vol. 32; no. 4; pp. 775 - 779
Main Authors 武藤, 頼彦, 菅本, 祐司, 木村, 正幸, 後藤, 俊平, 飯野, 正敏, 福長, 徹, 細田, 利史, 花岡, 俊晴, 松原, 久裕, 成島, 一夫
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本腹部救急医学会 2012
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ISSN1340-2242
1882-4781
DOI10.11231/jaem.32.775

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Summary:当科では急性虫垂炎に対し,保存的治療後の腹腔鏡下interval appendectomy(IA)を基本方針としている。急性虫垂炎と診断された405症例のうち,ASA─PS class4と判断された3例と,患者希望等で急性期手術を選択した34例を除く368例に保存的治療を行い,全例が奏効軽快した。IAには急性期手術に比べ,(1)拡大・不要手術が避けられる,(2)手術合併症が減る,(3)待機中に悪性疾患などのチェックが可能─などの利点がある。術式変更がない,合併症がない,術後在院期間が4日以内という3つの条件でアウトカムを検討すると,急性期手術では29例中11例37.9%でアウトカム不良だったが,IAでは145例中5例3.4%のみだった。初回MDCTで膿瘍形成例では,急性期手術群10例中7例がアウトカム不良例であったが,IA群では32例中5例(15.6%)のみであった。一方,蜂窩織炎であれば急性期手術群でもアウトカム不良は14例中1例のみで,認容範囲であった。IAは合併症の少ない,安全確実な優れた治療法であるため,急性期虫垂切除の適応は限定されるべきと考えている。
ISSN:1340-2242
1882-4781
DOI:10.11231/jaem.32.775