間接ビリルビン優位の体質性黄疸合併慢性C型肝炎に対し,ペグインターフェロン+リバビリン+シメプレビル3剤併用療法を施行し,黄疸の増強後に回復を認めた1例

要旨:症例は42歳,男性.HCV抗体陽性を指摘され当院紹介された.体質性黄疸を指摘されていたが,肝機能異常を認めたことはなかった.一般血液検査ではTB,ALT以外に異常は認めなかった.HCVは1型でウイルス量7.1 Log IU/mLのため,ペグインターフェロン+リバビリン+シメプレビル3剤併用療法を開始した.投与前血清総ビリルビン値(TB)2.5 mg/dl,直接ビリルビン値(DB)0.1 mg/dLであったが,3週目にTB 8.1 mg/dLと上昇した.肝機能は正常化しているため薬剤は減量せず継続し,4週目にはTBも5.1 mg/dLと低下し,HCV-RNAも陰性化した.24週目はTB 2...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in肝臓 Vol. 56; no. 1; pp. 13 - 17
Main Authors 中本, 伸宏, 堀江, 義則, 金井, 隆典, 海老沼, 浩利
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本肝臓学会 2015
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN0451-4203
1881-3593
DOI10.2957/kanzo.56.13

Cover

More Information
Summary:要旨:症例は42歳,男性.HCV抗体陽性を指摘され当院紹介された.体質性黄疸を指摘されていたが,肝機能異常を認めたことはなかった.一般血液検査ではTB,ALT以外に異常は認めなかった.HCVは1型でウイルス量7.1 Log IU/mLのため,ペグインターフェロン+リバビリン+シメプレビル3剤併用療法を開始した.投与前血清総ビリルビン値(TB)2.5 mg/dl,直接ビリルビン値(DB)0.1 mg/dLであったが,3週目にTB 8.1 mg/dLと上昇した.肝機能は正常化しているため薬剤は減量せず継続し,4週目にはTBも5.1 mg/dLと低下し,HCV-RNAも陰性化した.24週目はTB 2.7 mg/dlと投与前値に回復した.3剤併用療法では,一過性のTB上昇が報告されている.体質性黄疸合併慢性C型肝炎に対し3剤併用療法を施行し,黄疸の増強後に回復を認めた症例を経験したので報告した.間接ビリルビン優位の体質性黄疸合併慢性C型肝炎症例でも3剤併用後のTBの上昇は一過性で禁忌ではなく,DBや肝逸脱酵素の上昇などを伴わない限り中止の必要性はないと考えられた.
ISSN:0451-4203
1881-3593
DOI:10.2957/kanzo.56.13