縦隔気腫,後腹膜気腫,皮下気腫を認めた直腸S状部穿孔の1例

症例は,78歳の女性。虚血性腸炎,結腸憩室炎の既往がある。現病歴は,両側卵管留膿腫の診断で,当院婦人科にて子宮全摘出術および両側付属器切除術を施行した。術後7日目に発熱を認めたため胸腹部CT検査を行ったところ,後腹膜から縦隔まで広がる気腫症を認めた。腹部所見では,腹膜刺激症状および筋性防御は認めなかった。大腸内視鏡検査とガストログラフィンによる造影検査で,直腸S状部穿孔と診断し緊急手術を施行した。術中所見は,直腸S状部の腸間膜付着部の穿孔とその周囲に壊死組織を認めた。また右側結腸の後腹膜腔から右腎筋膜周囲に膿瘍を認めた。気腫は小腸間膜,横行結腸間膜にも存在し,小網腔から食道裂孔を通じ縦隔にまで...

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Published in日本腹部救急医学会雑誌 Vol. 34; no. 3; pp. 685 - 689
Main Authors 下田, 朋宏, 松田, 明久, 松谷, 毅, 丸山, 弘, 吉田, 寛, 内田, 英二
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本腹部救急医学会 2014
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ISSN1340-2242
1882-4781
DOI10.11231/jaem.34.685

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Summary:症例は,78歳の女性。虚血性腸炎,結腸憩室炎の既往がある。現病歴は,両側卵管留膿腫の診断で,当院婦人科にて子宮全摘出術および両側付属器切除術を施行した。術後7日目に発熱を認めたため胸腹部CT検査を行ったところ,後腹膜から縦隔まで広がる気腫症を認めた。腹部所見では,腹膜刺激症状および筋性防御は認めなかった。大腸内視鏡検査とガストログラフィンによる造影検査で,直腸S状部穿孔と診断し緊急手術を施行した。術中所見は,直腸S状部の腸間膜付着部の穿孔とその周囲に壊死組織を認めた。また右側結腸の後腹膜腔から右腎筋膜周囲に膿瘍を認めた。気腫は小腸間膜,横行結腸間膜にも存在し,小網腔から食道裂孔を通じ縦隔にまで達していた。ハルトマン手術を施行し,右側結腸から後腹膜,食道裂孔から下縦隔の洗浄ドレナージを行った。術後は良好に経過し,術後36日目に軽快退院した。
ISSN:1340-2242
1882-4781
DOI:10.11231/jaem.34.685