心臓血管外科手術におけるフィブリノゲン製剤の使用実態調査

[背景]2021年にフィブリノゲン製剤の心臓血管外科手術への適応拡大は公知申請に該当すると判断されたが,日本心臓血管外科学会が行う調査によって医療現場で適正使用可能と判断が得られた後に,別途通知を受けることとなった.フィブリノゲン製剤の使用実態調査は課せられた調査の1つである.[方法]フィブリノゲン製剤の使用実態調査を,2021年12月に心臓血管外科専門医認定機構認定修練施設551施設で行い,375施設(68%)から回答を得た.[結果]フィブリノゲン製剤は375施設中98施設(26%)で使用されていた.対象となる手術は大動脈手術(胸部・胸腹部)(50%),心臓再手術(24%)が多く,術中フィブ...

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Published in日本心臓血管外科学会雑誌 Vol. 52; no. 5; pp. 353 - 360
Main Authors 志水, 秀行, 岡田, 健次, 湊谷, 謙司, 椎谷, 紀彦, 碓氷, 章彦, 横山, 斉, 本村, 昇
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本心臓血管外科学会 15.09.2023
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ISSN0285-1474
1883-4108
DOI10.4326/jjcvs.52.353

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Summary:[背景]2021年にフィブリノゲン製剤の心臓血管外科手術への適応拡大は公知申請に該当すると判断されたが,日本心臓血管外科学会が行う調査によって医療現場で適正使用可能と判断が得られた後に,別途通知を受けることとなった.フィブリノゲン製剤の使用実態調査は課せられた調査の1つである.[方法]フィブリノゲン製剤の使用実態調査を,2021年12月に心臓血管外科専門医認定機構認定修練施設551施設で行い,375施設(68%)から回答を得た.[結果]フィブリノゲン製剤は375施設中98施設(26%)で使用されていた.対象となる手術は大動脈手術(胸部・胸腹部)(50%),心臓再手術(24%)が多く,術中フィブリノゲン値測定は77%で行われており,フィブリノゲン製剤使用のトリガーは,<150 mg/dl;30%,<100 mg/dl;20%,出血傾向;40%であった.一方,クリオプレシピテートが院内作成可能な施設は39施設(10%)に留まり,使用している施設は34施設(9%)であった.フィブリノゲン製剤使用申請は107施設(29%)が予定,40施設(10%)が状況をみて判断するとの回答であり,予想されるフィブリノゲン製剤の年間使用症例は10例未満;52施設,10~19例;50施設,20~49例;31施設,50~99例;12施設,100例以上;2施設であり,最大4,860例と予測できた.[結語]フィブリノゲン製剤およびクリオプレシピテートの使用実態調査を行った.術中フィブリノゲン値測定は約8割の施設が行っており,適応拡大後の年間使用症例は,最大5,000例と予測できた.クリオプレシピテートを院内調整している施設は約1割と少数であり,今後の周知と調整率の向上が望まれる.
ISSN:0285-1474
1883-4108
DOI:10.4326/jjcvs.52.353