初潮とともに急速増大した14歳乳腺線維腺腫の1例

若年者の線維腺腫の中には急速に増大するものがあり,若年性線維腺腫と呼ばれ,本邦での15歳以下の報告例は20例と比較的稀である.今回,14歳女児に発症し,初潮とともに急速に増大した若年性線維腺腫の1例を経験したので報告する.症例は14歳,女児.4カ月前に初潮初来.3カ月前より急速に左乳房の増大を認め,当科を受診した.左乳房に10cm大の弾性軟な腫瘤を触知し,乳房造影MRI検査で左ECD領域に12cm大の漸増型造影効果を伴う境界明瞭腫瘤を認め,針生検で線維腺腫と診断された.増大傾向を呈する巨大な腫瘤であり手術の方針とし,整容性を考慮し,乳房下溝線外縁に皮膚切開を置き,腫瘍摘出術を施行した.病理組織...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 79; no. 6; pp. 1187 - 1192
Main Authors 小林, 翔, 上原, 剛, 池原, 智彦, 大場, 崇旦, 伊藤, 研一, 前野, 一真
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2018
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.79.1187

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Summary:若年者の線維腺腫の中には急速に増大するものがあり,若年性線維腺腫と呼ばれ,本邦での15歳以下の報告例は20例と比較的稀である.今回,14歳女児に発症し,初潮とともに急速に増大した若年性線維腺腫の1例を経験したので報告する.症例は14歳,女児.4カ月前に初潮初来.3カ月前より急速に左乳房の増大を認め,当科を受診した.左乳房に10cm大の弾性軟な腫瘤を触知し,乳房造影MRI検査で左ECD領域に12cm大の漸増型造影効果を伴う境界明瞭腫瘤を認め,針生検で線維腺腫と診断された.増大傾向を呈する巨大な腫瘤であり手術の方針とし,整容性を考慮し,乳房下溝線外縁に皮膚切開を置き,腫瘍摘出術を施行した.病理組織診断で若年性線維腺腫と診断され,ER陽性・Ki-67陽性率は約20%であった.本症例は初潮後に腫瘤が急速に増大し,ER陽性であったことから,急速増大の要因としてエストロゲン刺激との関連が示唆された.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.79.1187