腹腔鏡手術を行った腰椎腹腔シャントを有する急性虫垂炎の1例

症例は72歳の女性で,特発性正常圧水頭症に対して当科受診27日前に腰椎腹腔シャント術を受けていた.腹痛を主訴に受診し,腹部CT検査にて急性虫垂炎と診断された.脳神経外科医と検討し,シャント温存下で気腹圧8 mmHgにて腹腔鏡下虫垂切除術を施行し,術後4日目に退院となった.術後経過は順調で,以後髄膜炎やシャント不全などは認めていない. 腰椎腹腔シャント留置例に対してシャントチューブを温存したままで腹腔鏡下虫垂切除術を施行する場合,逆行性感染をきたす恐れがあるが,症例を選べば逆流防止弁付きシャントシステムに処置を追加せずとも安全に腹腔鏡下虫垂切除術を施行できる可能性がある.検索しえた範囲では腰椎腹...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 79; no. 6; pp. 1242 - 1246
Main Authors 唐澤, 幸彦, 北原, 弘恵, 阿藤, 一志, 吉村, 昌記, 織井, 崇
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2018
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.79.1242

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Summary:症例は72歳の女性で,特発性正常圧水頭症に対して当科受診27日前に腰椎腹腔シャント術を受けていた.腹痛を主訴に受診し,腹部CT検査にて急性虫垂炎と診断された.脳神経外科医と検討し,シャント温存下で気腹圧8 mmHgにて腹腔鏡下虫垂切除術を施行し,術後4日目に退院となった.術後経過は順調で,以後髄膜炎やシャント不全などは認めていない. 腰椎腹腔シャント留置例に対してシャントチューブを温存したままで腹腔鏡下虫垂切除術を施行する場合,逆行性感染をきたす恐れがあるが,症例を選べば逆流防止弁付きシャントシステムに処置を追加せずとも安全に腹腔鏡下虫垂切除術を施行できる可能性がある.検索しえた範囲では腰椎腹腔シャント留置例に対し腹腔鏡下虫垂切除術を施行した報告はなく,文献的考察を加え報告する.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.79.1242