右前胸部に発生した副乳癌の1例

副乳癌は全乳癌の0.2~0.6%を占め,大部分は腋窩に発生するが,前胸部発症例は全乳癌の0.01%と極めて稀である.右前胸部に発生した副乳癌を経験したので報告する.症例は56歳,女性.右前胸部皮下腫瘤を主訴に当科を受診.乳腺堤線上に位置する右前胸部に突出する3cm大の硬い腫瘤を触知した.画像検査,針生検により副乳癌の術前診断で局所広範囲切除+センチネルリンパ節生検を施行した.術中迅速病理診断でセンチネルリンパ節に転移を認めなかったが,近傍にやや硬いリンパ節を複数認めたため,level I領域の郭清を追加した.病理組織所見は硬癌で,センチネルリンパ節と郭清したリンパ節に転移はなかった.腫瘍部と正...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 81; no. 7; pp. 1255 - 1260
Main Authors 瀧川, 拓人, 宮坂, 祐司, 米森, 敦也, 田口, 和典
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2020
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.81.1255

Cover

More Information
Summary:副乳癌は全乳癌の0.2~0.6%を占め,大部分は腋窩に発生するが,前胸部発症例は全乳癌の0.01%と極めて稀である.右前胸部に発生した副乳癌を経験したので報告する.症例は56歳,女性.右前胸部皮下腫瘤を主訴に当科を受診.乳腺堤線上に位置する右前胸部に突出する3cm大の硬い腫瘤を触知した.画像検査,針生検により副乳癌の術前診断で局所広範囲切除+センチネルリンパ節生検を施行した.術中迅速病理診断でセンチネルリンパ節に転移を認めなかったが,近傍にやや硬いリンパ節を複数認めたため,level I領域の郭清を追加した.病理組織所見は硬癌で,センチネルリンパ節と郭清したリンパ節に転移はなかった.腫瘍部と正常乳腺組織との連続性はなく,右前胸部原発の副乳癌と診断した.ER陽性/PgR陽性,HER2陰性でEC療法を施行後,アロマターゼ阻害剤を投与中である.術後2年6カ月の現在,再発の徴候を認めていない.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.81.1255