妊娠30週の Loeys-dietz 症候群患者に発症した Stanford A 型急性大動脈解離の1例
症例は43歳女性.大動脈解離の家族歴,遺伝性結合織疾患に特異的な身体所見を有していたが精査はされていなかった.妊娠30週に胸背部痛を自覚し当院に搬送されStanford A型急性大度脈解離の診断となった.血行動態は安定していたものの,偽腔開存型で大動脈基部拡大,大動脈弁閉鎖不全症を合併していた.現時点の出産で胎児の救命率は高く,帝王切開と人工血管置換術を一期的に行う方針とした.全身麻酔下に帝王切開分娩を行い,その後のヘパリン,体外循環での産科的出血を予防するため子宮全摘を施行した.ひき続き全弓部大動脈人工血管置換術,Bentall術を行った.術直後に子宮摘出部から出血で再開腹を行ったが,術後経...
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| Published in | 日本心臓血管外科学会雑誌 Vol. 51; no. 5; pp. 304 - 307 |
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| Main Authors | , , |
| Format | Journal Article |
| Language | Japanese |
| Published |
特定非営利活動法人 日本心臓血管外科学会
15.09.2022
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| Subjects | |
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| ISSN | 0285-1474 1883-4108 |
| DOI | 10.4326/jjcvs.51.304 |
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| Summary: | 症例は43歳女性.大動脈解離の家族歴,遺伝性結合織疾患に特異的な身体所見を有していたが精査はされていなかった.妊娠30週に胸背部痛を自覚し当院に搬送されStanford A型急性大度脈解離の診断となった.血行動態は安定していたものの,偽腔開存型で大動脈基部拡大,大動脈弁閉鎖不全症を合併していた.現時点の出産で胎児の救命率は高く,帝王切開と人工血管置換術を一期的に行う方針とした.全身麻酔下に帝王切開分娩を行い,その後のヘパリン,体外循環での産科的出血を予防するため子宮全摘を施行した.ひき続き全弓部大動脈人工血管置換術,Bentall術を行った.術直後に子宮摘出部から出血で再開腹を行ったが,術後経過は良好で母子ともに合併症なく救命可能であった.母は遺伝子検査でLoeys-dietz症候群と診断された. |
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| ISSN: | 0285-1474 1883-4108 |
| DOI: | 10.4326/jjcvs.51.304 |