腹腔鏡下S状結腸癌切除術機能的端々吻合部に生じたblind loop syndromeの1例

症例は82歳,男性.S状結腸癌に対し腹腔鏡下S状結腸切除術を施行し,再建は機能的端々吻合を行った.術後経過は良好で,特に合併症なく術後第8病日に退院となった.その後外来経過観察中であったが,術後1年3カ月の腹部造影CTから吻合部の嚢状拡張を認め,術後3年7カ月に10日前からの便秘と腹部膨満感を主訴に受診.腹部造影CTにて機能的端々吻合部の著明な拡張と口側腸管の便貯留を認め,blind loop syndromeと診断した.禁食,経過観察にて排便を認めたものの症状改善を認めなかったため,吻合部が原因と考え腹腔鏡下吻合部切除術,DST吻合を施行した.Blind loop syndromeは機能的端...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 81; no. 7; pp. 1359 - 1363
Main Authors 高橋, 慶一, 中守, 咲子, 夏目, 壮一郎, 小野, 智之, 木谷, 優介, 中野, 大輔
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2020
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.81.1359

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Summary:症例は82歳,男性.S状結腸癌に対し腹腔鏡下S状結腸切除術を施行し,再建は機能的端々吻合を行った.術後経過は良好で,特に合併症なく術後第8病日に退院となった.その後外来経過観察中であったが,術後1年3カ月の腹部造影CTから吻合部の嚢状拡張を認め,術後3年7カ月に10日前からの便秘と腹部膨満感を主訴に受診.腹部造影CTにて機能的端々吻合部の著明な拡張と口側腸管の便貯留を認め,blind loop syndromeと診断した.禁食,経過観察にて排便を認めたものの症状改善を認めなかったため,吻合部が原因と考え腹腔鏡下吻合部切除術,DST吻合を施行した.Blind loop syndromeは機能的端々吻合の合併症としては稀であるが,留意すべき合併症であり,腸閉塞症状を認める際には手術を検討する必要がある.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.81.1359