職場のアルコール問題と予防教育

職場におけるアルコール問題には身体的問題・精神的問題・社会的問題と3つのカテゴリーがあり広範に及ぶ.今までは断酒が唯一の方法とされたこともあって治療や介入に難航する事例が多かった.しかし2018年に公開されたアルコール使用障害の診断治療ガイドラインには減酒治療・指導も効果があることが示され,さらに早期から介入する必要性が示唆された.職場は以前から飲酒文化が根付き,健康診断も行われることから早期介入に最適な場である.その主役を担う産業保健職は,ガイドラインに従って正しい介入方法を用い積極的に指導することが期待される.また職場の飲酒文化には,科学的に正しくない理解による良くない習慣や動機付けが存在...

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Published in産業精神保健 Vol. 32; no. 2; pp. 184 - 189
Main Author 田中, 完
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本産業精神保健学会 20.06.2024
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ISSN1340-2862
2758-1101
DOI10.57339/jjomh.32.2_184

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Summary:職場におけるアルコール問題には身体的問題・精神的問題・社会的問題と3つのカテゴリーがあり広範に及ぶ.今までは断酒が唯一の方法とされたこともあって治療や介入に難航する事例が多かった.しかし2018年に公開されたアルコール使用障害の診断治療ガイドラインには減酒治療・指導も効果があることが示され,さらに早期から介入する必要性が示唆された.職場は以前から飲酒文化が根付き,健康診断も行われることから早期介入に最適な場である.その主役を担う産業保健職は,ガイドラインに従って正しい介入方法を用い積極的に指導することが期待される.また職場の飲酒文化には,科学的に正しくない理解による良くない習慣や動機付けが存在している.機会あるごとにAUDITを用いて問題飲酒者を同定しハイリスクアプローチをするとともに,飲酒文化についても正しい知識を与え,職場全体でアルコールに対する認識を変えていく予防教育も重要になる.
ISSN:1340-2862
2758-1101
DOI:10.57339/jjomh.32.2_184