周術期予防抗菌薬適正化に向けたガイドラインに基づくクリニカルパス整備と監視体制の構築 経尿道的内視鏡手術における有用性評価

• Published in: 医療薬学 Vol. 47; no. 11; pp. 639 - 646
• Main Authors: 高嶋, かれん, 松岡, 知子, 池田, 義明, 宇野, 雅博, 大橋, 健吾, 篠田, 康孝, 吉村, 知哲
• Format: Journal Article
• Language: Japanese
• Published: 一般社団法人日本医療薬学会 10.11.2021; 日本医療薬学会
• Subjects: antimicrobial prophylaxis; clinical pathway; guidelines; monitoring and feedback; transurethral endoscopic surgery
• ISSN: 1346-342X; 1882-1499
• DOI: 10.5649/jjphcs.47.639

「緒言」泌尿器科領域における経尿道的内視鏡手術時の予防抗菌薬については, メタアナリシスにより術後の細菌尿, 症候性尿路感染症, 菌血症および発熱の発症頻度を減少させるとして有用性が示されている. 欧州泌尿器学会(European Association of Urology: EAU)のガイドラインを分析する大規模研究においても, EAUが推奨する短期間の周術期予防抗菌薬の投与が, 術後感染率を増加させることなくコストの削減および薬剤耐性菌の減少につながることを実証している. 一方で, 2018年の米国における経尿道的手術の国家行政データシステムのコホート研究では, 周術期予防抗菌薬の56.3%が24時間を超えて継続しており, そのうち継続の必要があった症例は16.1%に過ぎず, 逸脱した症例の投与期間の中央値は3日であったことを報告している. また, ドイツ, オーストリアおよびスイスの2017年における泌尿器学会データベースディレクトリを利用した調査でも, 低リスク患者における経尿道的前立腺切除術(transurethral resection of prostate: TURP)の周術期予防抗菌薬投与は, EAUの推奨に対し60%が遵守されていないことが報告されている.