RARC初心者に対するECUDのすすめ
膀胱全摘除術 (RC) は筋層浸潤性膀胱癌に対する最良の標準術式である. 開腹による根治的膀胱全摘除術に代わって, ロボット支援による根治的膀胱全摘除術 (RARC) が徐々に普及しており, 低侵襲手術として世界中で手術件数が増加しつつある. しかし, RARCは経験の浅い泌尿器科医にとって最も困難な手術のひとつであることはよく知られている. RCを行う外科医には質の高い周術期および術後成績が求められる. 本術式ではRCに対するペンタフェクタを達成しなければならない. すなわち, 軟部組織切除断端が陰性, 摘出リンパ節数が16個以上, 術後90日で重大な合併症, 術後12カ月以内の尿路変向関連...
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Published in | Japanese Journal of Endourology and Robotics Vol. 37; no. 1; pp. 9 - 14 |
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Main Authors | , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本泌尿器内視鏡・ロボティクス学会
2024
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Subjects | |
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ISSN | 2436-875X |
DOI | 10.11302/jserjje.37.1_9 |
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Summary: | 膀胱全摘除術 (RC) は筋層浸潤性膀胱癌に対する最良の標準術式である. 開腹による根治的膀胱全摘除術に代わって, ロボット支援による根治的膀胱全摘除術 (RARC) が徐々に普及しており, 低侵襲手術として世界中で手術件数が増加しつつある. しかし, RARCは経験の浅い泌尿器科医にとって最も困難な手術のひとつであることはよく知られている. RCを行う外科医には質の高い周術期および術後成績が求められる. 本術式ではRCに対するペンタフェクタを達成しなければならない. すなわち, 軟部組織切除断端が陰性, 摘出リンパ節数が16個以上, 術後90日で重大な合併症, 術後12カ月以内の尿路変向関連の手術後遺症, 術後12カ月以内の臨床的再発, の5点である. RCを完了するには, 膀胱および関連臓器 (男性では前立腺, 精嚢, [および尿道], 女性では膣の接合面, 子宮および尿道) の摘除, 骨盤内リンパ節の郭清, 尿路変向という多くのステップを施行する必要があり, 経験の浅い泌尿器科医が全手順を完遂することは困難である. ただしこれらのステップのうち, ひとつでも経験のある手技があれば, 手術時間の短縮やストレスの軽減につながるだけでなく, 質の高い手術が施行しうる可能性がある. 多くの泌尿器科医は, 開腹手術時の尿路変向としてすでに回腸導管の手技を経験している. したがって, ECUDは泌尿器科医にとって馴染みのある手術であり, 受け入れられやすいと考えられる. 本稿では, 体腔外尿路変向術 (ECUD) と体腔内尿路変向術 (ICUD) の長所および短所, 経験の浅い泌尿器科医にECUDを推奨する理由, ECUDの実際の手術手技について解説する. |
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ISSN: | 2436-875X |
DOI: | 10.11302/jserjje.37.1_9 |