触診で発見された外側胸筋神経が由来と思われる胸壁神経鞘腫の1例

一般に,胸部に発生する神経鞘腫の大部分は後縦隔に認められ,胸壁原発の神経鞘腫の発生頻度は低い.また,四肢や頭頸部領域には触知される神経鞘腫の報告が散見されるが,体幹,特に胸壁に触知される神経鞘腫の報告は極めて少ない.症例は62歳,男性. 狭心症で通院中に,内科医が触診で左前胸部に4cm大の可動性が乏しい皮下腫瘤を指摘し,精査目的に当科へ依頼となった.MRI検査でのT2強調画像にて内部性状は中心部が低信号,周辺部が高信号の同心円状の信号を呈しており,神経鞘腫と診断し切除した.術中所見では外側胸筋神経が発生母地と考えられた.体表から触知される胸壁神経鞘腫は稀な病態であり,さらに外側胸筋神経から発生...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 79; no. 1; pp. 79 - 83
Main Authors 松平, 秀樹, 石川, あい, 吉田, 和彦, 荒川, 智嗣, 森川, 利昭, 野田, 祐基
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2018
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.79.79

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Summary:一般に,胸部に発生する神経鞘腫の大部分は後縦隔に認められ,胸壁原発の神経鞘腫の発生頻度は低い.また,四肢や頭頸部領域には触知される神経鞘腫の報告が散見されるが,体幹,特に胸壁に触知される神経鞘腫の報告は極めて少ない.症例は62歳,男性. 狭心症で通院中に,内科医が触診で左前胸部に4cm大の可動性が乏しい皮下腫瘤を指摘し,精査目的に当科へ依頼となった.MRI検査でのT2強調画像にて内部性状は中心部が低信号,周辺部が高信号の同心円状の信号を呈しており,神経鞘腫と診断し切除した.術中所見では外側胸筋神経が発生母地と考えられた.体表から触知される胸壁神経鞘腫は稀な病態であり,さらに外側胸筋神経から発生した神経鞘腫の報告例は検索しえなかった.われわれが経験した1切除例を若干の文献的考察を加え報告する.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.79.79