人工骨髄による血液産生

造血幹細胞移植は血液疾患, 悪性腫瘍などの多くの疾患において日常的な治療となった. これに伴い造血幹細胞が骨髄に生着する機序の解明も進んだ. 骨髄生着には幹細胞が住み着く場所(ニッチ)が重要な役割を果たしており, このニッチの形成に骨芽細胞が関与することがわかってきた. 今回, われわれは血液疾患, 悪性腫瘍の新たな治療戦略のひとつとして, 『人工骨髄』の作成を試みた. 「Fig. 1」 GFPマウスの大腿骨から採取した骨髄細胞と人工基質(ハイドロキシアパタイト)を共培養し人工骨髄を作成した. この人工骨髄における造血細胞の生着を確認するために, レシピエントマウスの皮下に人工骨髄を植え込んだ...

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Published in日本医科大学医学会雑誌 Vol. 4; no. 3; pp. 136 - 137
Main Authors 藤田, 敦士, 右田, 真, 島田, 隆, 福永, 慶隆, 植田, 高弘
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本医科大学医学会 2008
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ISSN1349-8975
1880-2877
DOI10.1272/manms.4.136

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Summary:造血幹細胞移植は血液疾患, 悪性腫瘍などの多くの疾患において日常的な治療となった. これに伴い造血幹細胞が骨髄に生着する機序の解明も進んだ. 骨髄生着には幹細胞が住み着く場所(ニッチ)が重要な役割を果たしており, このニッチの形成に骨芽細胞が関与することがわかってきた. 今回, われわれは血液疾患, 悪性腫瘍の新たな治療戦略のひとつとして, 『人工骨髄』の作成を試みた. 「Fig. 1」 GFPマウスの大腿骨から採取した骨髄細胞と人工基質(ハイドロキシアパタイト)を共培養し人工骨髄を作成した. この人工骨髄における造血細胞の生着を確認するために, レシピエントマウスの皮下に人工骨髄を植え込んだ. 1カ月後には人工骨髄は拒絶されることなく, 人工骨髄内部に骨髄様の組織を認めた. 「Fig. 2」 ドナーマウスの骨髄細胞を採取しレンチウイルスベクターを用いてルシフェラーゼ(Luc)遺伝子を導入した後に骨髄移植した. 移植3カ月後に, リアルタイムin vivoイメージング法(IVIS)によりLuc陽性細胞が人工骨髄内生着していることを確認した.
ISSN:1349-8975
1880-2877
DOI:10.1272/manms.4.136