幸福顔貌骨異形成症に伴う進行性僧帽弁狭窄に対する弁置換術
症例は8歳4カ月女児.1歳時に肝腫大・肝酵素高値で前医受診し,精査の結果,幸福顔貌骨異形成症の診断となった.心臓以外の症状としては遠視・乱視,右難聴,両手ばね指,低身長,睫毛内反,扁平足を認め,遺伝科,眼科,整形外科,内分泌科,耳鼻科等でフォローされていた.3歳5カ月時はじめて循環器科で精査.軽度の僧帽弁逆流と大動脈弁狭窄を認め,年に1回のフォローで経過観察されていた.7歳11カ月時に当院紹介受診.8歳2カ月時に行った心臓カテーテル検査では僧帽弁逆流は軽度だったが,平均圧較差は16 mmHg,僧帽弁弁口面積は0.60 cm2(MVAi 0.97 cm2/m2)と僧帽弁狭窄を認めており,左房圧2...
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Published in | 日本心臓血管外科学会雑誌 Vol. 51; no. 4; pp. 204 - 207 |
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Main Authors | , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
特定非営利活動法人 日本心臓血管外科学会
15.07.2022
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Subjects | |
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ISSN | 0285-1474 1883-4108 |
DOI | 10.4326/jjcvs.51.204 |
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Summary: | 症例は8歳4カ月女児.1歳時に肝腫大・肝酵素高値で前医受診し,精査の結果,幸福顔貌骨異形成症の診断となった.心臓以外の症状としては遠視・乱視,右難聴,両手ばね指,低身長,睫毛内反,扁平足を認め,遺伝科,眼科,整形外科,内分泌科,耳鼻科等でフォローされていた.3歳5カ月時はじめて循環器科で精査.軽度の僧帽弁逆流と大動脈弁狭窄を認め,年に1回のフォローで経過観察されていた.7歳11カ月時に当院紹介受診.8歳2カ月時に行った心臓カテーテル検査では僧帽弁逆流は軽度だったが,平均圧較差は16 mmHg,僧帽弁弁口面積は0.60 cm2(MVAi 0.97 cm2/m2)と僧帽弁狭窄を認めており,左房圧25 mmHg,平均肺動脈圧も36 mmHgと高値で,肺高血圧も認めていたため手術の方針となった.術中所見では,僧帽弁は弁尖の肥厚が著明で,乳頭筋・腱索も肥厚しており有効な弁口面積は狭小化していた.弁尖・弁下組織を可及的に切除し,機械弁置換を行った.術後経過は良好で,術翌日にICU退室,POD 16に軽快退院となった.病理所見では,乳頭筋や弁尖自体の層構造に大きな乱れはなかったが,弁尖の粘液性変性により高度に肥厚していた.希少な症例を経験したため報告する. |
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ISSN: | 0285-1474 1883-4108 |
DOI: | 10.4326/jjcvs.51.204 |