C型慢性肝炎に合併した膜性腎症の1例

HBウイルスに合併する腎障害はよく知られているが,最近HCウイルス感染に合併する腎障害の報告が散見されるようになってきた。今回我々は単心室根治術後に輸血後肝炎を発症,HC抗体陽性となった患児を経験し慢性活動性肝炎と診断した。患児は術前の学校検尿等においても尿所見の異常を認めなかったが,肝炎罹患後に蛋白尿を認めるようになったため腎生検を施行し,膜性腎症 (Membranous glomerulonephritis: MGN)と診断した。肝炎罹患後に発症したことと組織所見よりHCウイルスが腎症発症に関連があることが示唆された。本症例にインターフェロン-αの治療を施行,HCウイルス量の陰性化は見られ...

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Published in日本小児腎臓病学会雑誌 Vol. 9; no. 1; pp. 21 - 25
Main Authors 田辺, 卓也, 吉川, 賢二, 余田, 篤, 川崎, 康寛, 小國, 龍也, 鹿毛, 政義, 山城, 国暉, 地嵜, 剛史, 美濃, 真
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本小児腎臓病学会 1996
Subjects
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ISSN0915-2245
1881-3933
DOI10.3165/jjpn.9.21

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Summary:HBウイルスに合併する腎障害はよく知られているが,最近HCウイルス感染に合併する腎障害の報告が散見されるようになってきた。今回我々は単心室根治術後に輸血後肝炎を発症,HC抗体陽性となった患児を経験し慢性活動性肝炎と診断した。患児は術前の学校検尿等においても尿所見の異常を認めなかったが,肝炎罹患後に蛋白尿を認めるようになったため腎生検を施行し,膜性腎症 (Membranous glomerulonephritis: MGN)と診断した。肝炎罹患後に発症したことと組織所見よりHCウイルスが腎症発症に関連があることが示唆された。本症例にインターフェロン-αの治療を施行,HCウイルス量の陰性化は見られなかったが,蛋白尿の改善と蛍光抗体において毛細血管基底膜に沿って認められたIgGの沈着の改善を認めた。
ISSN:0915-2245
1881-3933
DOI:10.3165/jjpn.9.21