高齢者に対する腸内環境の改善に主眼を置いた周術期管理

日本の高齢化率は急速に進んでおり,今後は高齢者に対して高侵襲の手術を施行する機会が増加すると予想される。高齢患者では生体機能および生理的予備能の低下に加え,糖尿病・高血圧・高脂血症などの生活習慣病に罹患し,血管性病変を有することが多く,侵襲に対する防御機能が低下している場合が多い。とくに腸管は絶食や薬剤投与などの影響により周術期侵襲の重要な標的臓器となり得る。そのため当教室では周術期管理として腸内環境の改善と血管内皮細胞の機能強化に向けたバンドル治療を行っている。とくに腸内環境の改善対策として,①グルタミン+BCAA療法による骨格筋・腸管ネットワークの活用,②運動療法の併施,③シンバイオティク...

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Published in日本腹部救急医学会雑誌 Vol. 39; no. 6; pp. 1009 - 1016
Main Authors 田島, 秀浩, 伏田, 幸夫, 太田, 哲生, 岡崎, 充善, 牧野, 勇, 高村, 博之, 大畠, 慶直, 宮下, 知治, 蒲田, 亮介, 真橋, 宏幸, 中沼, 伸一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本腹部救急医学会 30.09.2019
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ISSN1340-2242
1882-4781
DOI10.11231/jaem.39.1009

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Summary:日本の高齢化率は急速に進んでおり,今後は高齢者に対して高侵襲の手術を施行する機会が増加すると予想される。高齢患者では生体機能および生理的予備能の低下に加え,糖尿病・高血圧・高脂血症などの生活習慣病に罹患し,血管性病変を有することが多く,侵襲に対する防御機能が低下している場合が多い。とくに腸管は絶食や薬剤投与などの影響により周術期侵襲の重要な標的臓器となり得る。そのため当教室では周術期管理として腸内環境の改善と血管内皮細胞の機能強化に向けたバンドル治療を行っている。とくに腸内環境の改善対策として,①グルタミン+BCAA療法による骨格筋・腸管ネットワークの活用,②運動療法の併施,③シンバイオティクス(プロバイオティクスとプレバイオティクス)療法による共生腸内細菌の正常化を図り,腸管粘膜の免疫機能・バリア機能の強化ならびにサルコペニア対策に重点を置いた周術期管理を行い,合併症の軽減に努めている。
ISSN:1340-2242
1882-4781
DOI:10.11231/jaem.39.1009