外側アプローチによる鼠径ヘルニアに対するKugel法

後方アプローチであるKugel法はその解剖の理解が難しく,正しい腹膜前腔剥離層に到達することへの困難さのために,従来の前方アプローチに比べて普及しづらい一面がある.Kugel原法では下腹壁動静脈を腹膜前腔確認の第一指標にし,中央側から外側に向かって(外向き剥離)壁在化を施行している(以下,中央側アプローチ)が,われわれは下腹壁動静脈を意識することなく,腹膜前筋膜深葉と腹膜前脂肪を指標にすることに着目し,外側から中央側に向かって(内向き剥離)壁在化を行う(以下,外側アプローチ)ことで従来の方法より容易に正しい剥離層に到達することが可能になった.その結果,手術時間は中央側アプローチ43分から(n=...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 75; no. 1; pp. 18 - 23
Main Authors 丹羽, 英記, 廣岡, 紀文, 渡瀬, 誠, 山口, 拓也, 門脇, 隆敏, 小川, 稔
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2014
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.75.18

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Summary:後方アプローチであるKugel法はその解剖の理解が難しく,正しい腹膜前腔剥離層に到達することへの困難さのために,従来の前方アプローチに比べて普及しづらい一面がある.Kugel原法では下腹壁動静脈を腹膜前腔確認の第一指標にし,中央側から外側に向かって(外向き剥離)壁在化を施行している(以下,中央側アプローチ)が,われわれは下腹壁動静脈を意識することなく,腹膜前筋膜深葉と腹膜前脂肪を指標にすることに着目し,外側から中央側に向かって(内向き剥離)壁在化を行う(以下,外側アプローチ)ことで従来の方法より容易に正しい剥離層に到達することが可能になった.その結果,手術時間は中央側アプローチ43分から(n=1,093例),外側アプローチ33分(n=1,316例)と有意に短縮し,再発率は1.2%から0.2%に減少した.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.75.18