腹部救急としての鼠径部ヘルニアの診断と治療

腹部救急領域において鼠径部ヘルニア嵌頓にともなう腸閉塞はしばしば遭遇する病態である。手術既往のない腸閉塞を認めた場合には,ヘルニアの嵌頓を念頭において診察する。そして可能な限りCT検査を行う。単純で行うが,腎機能が保たれており腸管の循環障害を疑う際には造影CT検査を行う。われわれは,冠状断像を多用している。ヘルニア嵌頓の診断がつけば緊急手術となる。鼠径部ヘルニア嵌頓症例は,全身麻酔下に行うことを原則に行い,最近では腹腔鏡観察下に手術を開始している。腸管の穿孔がなく血流の改善が確認されればそのまま前方から腹膜損傷をしないようにメッシュを用いた根治術を行う。穿孔し腹膜炎になっている場合や閉鎖孔ヘル...

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Published in日本腹部救急医学会雑誌 Vol. 34; no. 1; pp. 51 - 55
Main Authors 徳毛, 誠樹, 難波, 圭, 山本, 治慎, 太田, 徹哉, 森, 秀暁, 秋山, 一郎, 内藤, 稔, 岡田, 晃一郎, 照田, 翔馬, 國末, 浩範, 臼井, 由行, 柿下, 大一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本腹部救急医学会 2014
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ISSN1340-2242
1882-4781
DOI10.11231/jaem.34.51

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Summary:腹部救急領域において鼠径部ヘルニア嵌頓にともなう腸閉塞はしばしば遭遇する病態である。手術既往のない腸閉塞を認めた場合には,ヘルニアの嵌頓を念頭において診察する。そして可能な限りCT検査を行う。単純で行うが,腎機能が保たれており腸管の循環障害を疑う際には造影CT検査を行う。われわれは,冠状断像を多用している。ヘルニア嵌頓の診断がつけば緊急手術となる。鼠径部ヘルニア嵌頓症例は,全身麻酔下に行うことを原則に行い,最近では腹腔鏡観察下に手術を開始している。腸管の穿孔がなく血流の改善が確認されればそのまま前方から腹膜損傷をしないようにメッシュを用いた根治術を行う。穿孔し腹膜炎になっている場合や閉鎖孔ヘルニアで嵌頓解除時に穿孔した場合などは,腸管切除と腹膜炎手術を優先し,二期的にヘルニア根治手術をメッシュを用いて行う。われわれの診断治療の方針を概略する。
ISSN:1340-2242
1882-4781
DOI:10.11231/jaem.34.51