右大脳半球損傷者の言語行動特性について─談話分析評価尺度の成績から

右大脳半球損傷 (RHD) 者の言語行動特性を明らかにする目的で, Bryan (1995) の “The Right Hemisphere Language Battery Second Edition” の下位検査である「談話分析評価尺度 (Discourse Analysis Rating Scales : DARS) 」と独自に考案した「脳卒中患者の行動観察リスト (行動観察リスト) 」を用いて, 脳損傷者に対する言語行動の評価を行った。RHD 群の DARS 評価尺度を因子分析した結果, 「対人コミュニケーション」「談話構造」「他者意図推論」の 3 因子が抽出された。さらに, RHD...

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Published in高次脳機能研究 (旧 失語症研究) Vol. 42; no. 2; pp. 220 - 228
Main Authors 種村, 純, 宮﨑, 彰子, 伊澤, 幸洋, 植谷, 利英, 椿原, 彰夫
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本高次脳機能障害学会 30.06.2022
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ISSN1348-4818
1880-6554
DOI10.2496/hbfr.42.220

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Summary:右大脳半球損傷 (RHD) 者の言語行動特性を明らかにする目的で, Bryan (1995) の “The Right Hemisphere Language Battery Second Edition” の下位検査である「談話分析評価尺度 (Discourse Analysis Rating Scales : DARS) 」と独自に考案した「脳卒中患者の行動観察リスト (行動観察リスト) 」を用いて, 脳損傷者に対する言語行動の評価を行った。RHD 群の DARS 評価尺度を因子分析した結果, 「対人コミュニケーション」「談話構造」「他者意図推論」の 3 因子が抽出された。さらに, RHD 群は左大脳半球損傷群 (LHD 群) との項目別成績比較において, 「あいさつなどの表現」「ユーモア」など複数の項目で低得点を示した。また, 「行動観察リスト」で設けた表情変化の乏しさに関する所見の有無と DARS の項目別得点との分析から, 行動所見あり群は DARS 全 15 項目中 7 項目で有意な成績低下を示し, 情動や感情にかかわる精神機能の低下が言語コミュニケーション障害に関係していると考えられた。
ISSN:1348-4818
1880-6554
DOI:10.2496/hbfr.42.220