加齢と高次脳機能

加齢と高次脳機能について, ① 加齢が認知機能に与える影響, ② 認知機能障害における加齢の影響という視点で整理した。加齢にともない, さまざまな認知機能が低下することはよく知られているが, 縦断的研究と横断的研究は区別される必要があること, 検査の繰り返し効果や教育歴などの補正が必要であることなど, さまざまな知見によって, 加齢によって低下する機能, 影響を受けにくい機能があることなども明らかになってきた。また, アルツハイマー病の病理があっても, 認知症がない場合があること, 高齢者でも新しい神経細胞が生まれることも報告されている。脳損傷や疾患による失語やそのほかの認知機能低下についても...

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Published in高次脳機能研究 (旧 失語症研究) Vol. 42; no. 3; pp. 258 - 263
Main Author 大槻, 美佳
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本高次脳機能障害学会 30.09.2022
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ISSN1348-4818
1880-6554
DOI10.2496/hbfr.42.258

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Summary:加齢と高次脳機能について, ① 加齢が認知機能に与える影響, ② 認知機能障害における加齢の影響という視点で整理した。加齢にともない, さまざまな認知機能が低下することはよく知られているが, 縦断的研究と横断的研究は区別される必要があること, 検査の繰り返し効果や教育歴などの補正が必要であることなど, さまざまな知見によって, 加齢によって低下する機能, 影響を受けにくい機能があることなども明らかになってきた。また, アルツハイマー病の病理があっても, 認知症がない場合があること, 高齢者でも新しい神経細胞が生まれることも報告されている。脳損傷や疾患による失語やそのほかの認知機能低下についても, 加齢により機能低下を起こしやすい / 起こしにくい機能, 代償が効きやすい / 効きにくい機能があることも明らかになりつつある。高齢者の認知機能について, 単に「低下する」「回復しにくい」というひとまとめの見方ではなく, その詳細を検討し, よりよい対応へ生かしてゆく新しい視点が必要と考えられる。
ISSN:1348-4818
1880-6554
DOI:10.2496/hbfr.42.258