血管肉腫の同胞発症がみられた1家系

血管肉腫は希少がんの1つであり,おもに成人の皮膚,軟部組織,乳房,骨,肝臓,脾臓などに,一部は下大静脈や肺動脈,大動脈に発生することが知られている.海外では家系内に血管肉腫が多発する例がいくつか報告されているが,本邦では家族性あるいは遺伝性血管肉腫に関する報告はみられない.今回,同胞で血管肉腫を発症した1家系を経験した.発端者は40歳時に心臓血管肉腫と診断された女性である.その後,発端者の兄が50歳時に肝血管肉腫と診断された.海外の報告では,POT1遺伝子の生殖細胞系列病的バリアントが血管肉腫の発症に関与することが示唆されている.今回は,本症例に対する遺伝学的検査の内容に文献的考察を含めて報告...

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Published in遺伝性腫瘍 Vol. 22; no. 4; pp. 106 - 111
Main Authors 牛尼, 美年子, 勝部, 暢介, 石野, 淳, 岡野, 舞子, 野水, 整, 吉田, 輝彦, 佐治, 重衡, 高橋, 昌一, 後藤, 政広, 菅野, 康吉
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本遺伝性腫瘍学会 31.03.2023
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ISSN2435-6808
DOI10.18976/jsht.22.4_106

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Summary:血管肉腫は希少がんの1つであり,おもに成人の皮膚,軟部組織,乳房,骨,肝臓,脾臓などに,一部は下大静脈や肺動脈,大動脈に発生することが知られている.海外では家系内に血管肉腫が多発する例がいくつか報告されているが,本邦では家族性あるいは遺伝性血管肉腫に関する報告はみられない.今回,同胞で血管肉腫を発症した1家系を経験した.発端者は40歳時に心臓血管肉腫と診断された女性である.その後,発端者の兄が50歳時に肝血管肉腫と診断された.海外の報告では,POT1遺伝子の生殖細胞系列病的バリアントが血管肉腫の発症に関与することが示唆されている.今回は,本症例に対する遺伝学的検査の内容に文献的考察を含めて報告する.
ISSN:2435-6808
DOI:10.18976/jsht.22.4_106