高度の右室流出路狭窄をきたした非破裂性バルサルバ洞動脈瘤の1手術例

症例は72歳女性.18歳時に心室中隔欠損症,30歳時に肺動脈弁狭窄症を指摘されたが特に症状はなかった.数年前に心エコーで中等度の肺動脈弁狭窄と右心系の拡大を指摘されたが経過観察されていた.今回,呼吸困難の精査にて,心エコーで右室流出路に95 mmHgの圧較差が認められ,心臓カテーテル検査でバルサルバ洞動脈瘤が指摘された.肺動脈弁狭窄と考えられていたものは瘤による右室流出路の圧排と判明した.手術の方針で当科に入院した.胸骨正中切開,上行大動脈送血,上下大静脈脱血にて体外循環を確立.大動脈切開および肺動脈切開をおいた.肺動脈弁直下に示指頭大のバルサルバ洞動脈瘤の突出がみられた.大動脈側からも右大動...

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Published in心臓 Vol. 51; no. 6; pp. 620 - 625
Main Authors 菊地, 千鶴男, 松澤, 夏未, 高橋, 和義, 金沢, 宏, 佐藤, 大樹, 登坂, 有子, 若林, 貴志, 文, 智勇, 河合, 幸史, 中村, 則人, 高橋, 善樹, 中澤, 聡
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本心臓財団 15.06.2019
日本心臓財団・日本循環器学会
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ISSN0586-4488
2186-3016
DOI10.11281/shinzo.51.620

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Summary:症例は72歳女性.18歳時に心室中隔欠損症,30歳時に肺動脈弁狭窄症を指摘されたが特に症状はなかった.数年前に心エコーで中等度の肺動脈弁狭窄と右心系の拡大を指摘されたが経過観察されていた.今回,呼吸困難の精査にて,心エコーで右室流出路に95 mmHgの圧較差が認められ,心臓カテーテル検査でバルサルバ洞動脈瘤が指摘された.肺動脈弁狭窄と考えられていたものは瘤による右室流出路の圧排と判明した.手術の方針で当科に入院した.胸骨正中切開,上行大動脈送血,上下大静脈脱血にて体外循環を確立.大動脈切開および肺動脈切開をおいた.肺動脈弁直下に示指頭大のバルサルバ洞動脈瘤の突出がみられた.大動脈側からも右大動脈洞に瘤の入口部があることを確認した.心室中隔欠損孔は認められなかった.肺動脈側から瘤の突出部周囲にパッチを縫着し,大動脈側からも瘤の入口部をパッチ閉鎖した.大動脈弁右冠尖に対するcentral plication,および人工弁輪による三尖弁輪縫縮術を併せて行った.体外循環からの離脱は容易であった.スワンガンツカテーテルの測定にて,術後の肺動脈-右室間の圧較差は7 mmHgであった.経胸壁心エコー検査では,右室流出路に若干のモザイクフローを認めるものの圧較差は14 mmHgであった.第17病日に軽快退院した.症候性の高度右室流出路狭窄をきたした非破裂性バルサルバ洞動脈瘤に対し手術を行い良好な結果を得たので報告した.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo.51.620