高齢者の栄養状態がアミカシン硫酸塩1日1回投与法の臨床効果に与える影響

高齢者へのアミカシン硫酸塩(amikacin sulfate:AMK)1日1回投与には,腎機能に応じて体重あたりの1回投与量(mg/kg)を減じた投与法が推奨されている.しかし,1回投与量の減量は,十分な抗菌活性を発揮できない可能性が指摘されている.そこで,AMK1日1回投与法をおこなった高齢者を対象として臨床効果に影響を及ぼす因子について検討した.65歳以上の細菌性肺炎患者のうち,AMKを使用した330症例を対象とした.それらを有効群と無効群の2群に判別し,投与量,身体計測値,血液一般検査値,血液生化学検査値を比較検討した.有効群と無効群で有意差が認められた因子はAlb,TP,RBC,Hb,...

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Published in日本環境感染学会誌 Vol. 33; no. 1; pp. 7 - 14
Main Authors 松木, 祥彦, 塚本, 哲也, 渡辺, 茂和, 渡部, 多真紀, 矢嶋, 美樹
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本環境感染学会 25.01.2018
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ISSN1882-532X
1883-2407
DOI10.4058/jsei.33.7

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Summary:高齢者へのアミカシン硫酸塩(amikacin sulfate:AMK)1日1回投与には,腎機能に応じて体重あたりの1回投与量(mg/kg)を減じた投与法が推奨されている.しかし,1回投与量の減量は,十分な抗菌活性を発揮できない可能性が指摘されている.そこで,AMK1日1回投与法をおこなった高齢者を対象として臨床効果に影響を及ぼす因子について検討した.65歳以上の細菌性肺炎患者のうち,AMKを使用した330症例を対象とした.それらを有効群と無効群の2群に判別し,投与量,身体計測値,血液一般検査値,血液生化学検査値を比較検討した.有効群と無効群で有意差が認められた因子はAlb,TP,RBC,Hb,体重であった.AMKの投与量は,有効性に差を認めなかったが,Cpeak≧41 μg/mLでは,有効性に差が認められたAlb,RBC,Hbに差は認められなかった.腎機能障害においては,Cpeak≧41 μg/mL群およびCpeak<41 μg/mL群ともに発現率に差は認められなかったが,trough≧4 μg/mL群では有意に高値であった.高齢者におけるAMK1日1回投与法は,Ccrに応じて投与量を減量する場合でもCpeak≧41 μg/mLを考慮した投与設計を要することが示唆された.また,Alb,TP,RBC,Hb,体重が低値である患者では,十分な抗菌活性を発揮できない可能性が示された.
ISSN:1882-532X
1883-2407
DOI:10.4058/jsei.33.7