慢性腎臓病を伴う高血圧患者に対するカルシウム拮抗薬ベニジピンの尿蛋白改善作用ならびに抗酸化作用 未治療高血圧患者における層別解析研究

慢性腎臓病 (Chronic Kidney Disease;CKD) が, 世界的に注目されている理由の一つは, CKDが末期腎不全への進展と心血管イベントの危険因子であることが明らかにされたからである. それらを阻止するためには, 厳格な降圧と蛋白尿の改善が重要視されている. 今回, われわれは, 未治療の高血圧CKD患者を対象に, カルシウム拮抗薬ベニジピン投与による降圧効果ならびに蛋白尿減少効果, 抗酸化効果を検討したので報告する. CKD合併未治療高血圧患者34例にカルシウム拮抗薬であるベニジピンを投与し, 1年間追跡した. 血圧, 尿蛋白クレアチニン比 (UP/cre) および過酸化...

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Published in順天堂医学 Vol. 57; no. 6; pp. 610 - 616
Main Authors 鈴木, 仁, 堀越, 哲, 富野, 康日己, 高良, 勝彦, 鈴木, 佑介
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 順天堂医学会 31.12.2011
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ISSN0022-6769
2188-2134
DOI10.14789/pjmj.57.610

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Summary:慢性腎臓病 (Chronic Kidney Disease;CKD) が, 世界的に注目されている理由の一つは, CKDが末期腎不全への進展と心血管イベントの危険因子であることが明らかにされたからである. それらを阻止するためには, 厳格な降圧と蛋白尿の改善が重要視されている. 今回, われわれは, 未治療の高血圧CKD患者を対象に, カルシウム拮抗薬ベニジピン投与による降圧効果ならびに蛋白尿減少効果, 抗酸化効果を検討したので報告する. CKD合併未治療高血圧患者34例にカルシウム拮抗薬であるベニジピンを投与し, 1年間追跡した. 血圧, 尿蛋白クレアチニン比 (UP/cre) および過酸化脂質 (Lipid peroxide;LPO) を投与前後で測定した. 収縮期および拡張期血圧は, 投与前に155.4±17.8/91.5±12.2mmHgであったものが, 投与1年後には133.1±17.6/77.3±10.3mmHgに低下した (それぞれp<0.001). UP/creは, 投与前には1.50±1.50g/g creatinine (g/g cre) であったが, 1年後には0.79±1.06g/g creとなり, 有意に低下した (p=0.012). UP/creの変化率は, 65歳以上のCKD合併高血圧患者では, 65歳未満のその患者に比べ有意に大きかった (83.3%vs. 40.6%, p=0.042). また, LPOは, 投与前に1.39±0.67nmol/mlであったものが, 1年後には0.89±0.23nmol/mlとなり, 有意に低下した (p=0.023). 本研究では, CKD合併高血圧患者のなかで未治療に対象を限定しても, ベニジピンは尿蛋白を高齢者でより強く減少させた. これらの結果から, ベニジピンが尿蛋白改善効果を有することが示唆された. また, ベニジピンの投与によりCKD合併未治療高血圧患者のLPOレベルは低下したため, ベニジピンは抗酸化作用を有することが示唆された.
ISSN:0022-6769
2188-2134
DOI:10.14789/pjmj.57.610