心肺停止蘇生後の虚血性小腸炎による小腸狭窄の1例

症例は50歳,女性.気管支喘息重責発作後に心肺停止となったが,速やかに蘇生措置が行われ救命された.その後,腹痛・下痢が長期にわたって持続し,精査により潰瘍を伴う小腸炎と診断された.保存的治療では症状の改善が得られず,検査所見としても著明な狭窄を伴うようになったため,蘇生1年4カ月後に小腸狭窄に対して腹腔鏡下小腸切除術を施行した.Treitz靱帯から約280cmの小腸に2箇所の狭窄を認め,狭窄部とその口側で拡張の強い範囲を含む80cmの小腸を切除し吻合を行った.病理学的検査では狭窄型虚血性小腸炎と診断され,臨床経過から心肺停止による循環不全から虚血をきたしたと考えられた.今回,心肺停止蘇生後に虚...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 79; no. 4; pp. 781 - 786
Main Authors 坂口, 善久, 新里, 千明, 上原, 英雄, 楠本, 哲也, 橋本, 健吉, 池尻, 公二
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2018
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.79.781

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Summary:症例は50歳,女性.気管支喘息重責発作後に心肺停止となったが,速やかに蘇生措置が行われ救命された.その後,腹痛・下痢が長期にわたって持続し,精査により潰瘍を伴う小腸炎と診断された.保存的治療では症状の改善が得られず,検査所見としても著明な狭窄を伴うようになったため,蘇生1年4カ月後に小腸狭窄に対して腹腔鏡下小腸切除術を施行した.Treitz靱帯から約280cmの小腸に2箇所の狭窄を認め,狭窄部とその口側で拡張の強い範囲を含む80cmの小腸を切除し吻合を行った.病理学的検査では狭窄型虚血性小腸炎と診断され,臨床経過から心肺停止による循環不全から虚血をきたしたと考えられた.今回,心肺停止蘇生後に虚血性小腸炎による狭窄をきたし,外科的治療を必要とした症例を経験したので,文献的考察を含めて報告する.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.79.781