肝硬変合併進行肝細胞がんに対する疼痛緩和治療におけるオピオイドの投与について

【目的】わが国において, 肝硬変を合併した肝細胞がんに対するオピオイドの投与方法に明確なガイドラインは存在せず, 実臨床においては, その投与方法に苦慮することも多い. 【方法】当院 第三内科でオピオイドを投与された肝硬変合併進行肝細胞がん症例について, その現状や問題点について後方視的に検討を行った. 【結果】オピオイドの投与期間は約2カ月程度であったが, 肝予備能が保持され, 肝細胞がん治療を行えた症例では, オピオイドの投与期間が比較的長期となることが示された. オピオイド開始時に肝性脳症の予防対策を行っていた症例は10%強にすぎず, オピオイド開始後に肝性脳症を認めた症例が40%弱にみ...

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Published inPalliative Care Research Vol. 9; no. 1; pp. 101 - 106
Main Authors 古沢, 祥, 河合, 健吾, 安村, 敏, 高原, 照美, 近岡, 信悟, 峯村, 正実, 窪田, 恭子, 安川, 由紀子, 田尻, 和人, 杉山, 敏郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本緩和医療学会 2014
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ISSN1880-5302
DOI10.2512/jspm.9.1_101

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Summary:【目的】わが国において, 肝硬変を合併した肝細胞がんに対するオピオイドの投与方法に明確なガイドラインは存在せず, 実臨床においては, その投与方法に苦慮することも多い. 【方法】当院 第三内科でオピオイドを投与された肝硬変合併進行肝細胞がん症例について, その現状や問題点について後方視的に検討を行った. 【結果】オピオイドの投与期間は約2カ月程度であったが, 肝予備能が保持され, 肝細胞がん治療を行えた症例では, オピオイドの投与期間が比較的長期となることが示された. オピオイド開始時に肝性脳症の予防対策を行っていた症例は10%強にすぎず, オピオイド開始後に肝性脳症を認めた症例が40%弱にみられた. また, オピオイドローテーションの際に疼痛管理不良となる例がみられた. 【考察】肝硬変合併肝細胞がんに対するオピオイド治療においては, 薬剤の選択・投与法や肝性脳症予防対策について検討の余地があると思われた.
ISSN:1880-5302
DOI:10.2512/jspm.9.1_101