生体肝移植術前リハビリテーションの安全性と効果
「I. はじめに」生体肝移植手術(LDLT)は年間400例近く行われ, 末期肝臓疾患患者の治療法として確立されている. 2017年の肝移植研究会の報告では, LDLT術後生存率は小児に比較し成人で有意に低く, 成人の術後1年生存率は82.2%であり, 特に周術期の死亡率軽減が課題となっている. 末期肝臓疾患患者では肝機能の悪化に伴い, タンパク低栄養や炎症性サイトカイン増加による慢性炎症および異化亢進状態にあるとされ, 筋肉量の低下および筋力, 身体機能が低下した状態であるサルコペニアの有病率が高いと言われている. 海道らはサルコペニアの有無がLDLT術後生存率に影響していると報告した. また...
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Published in | 移植 Vol. 54; no. 4-5; pp. 211 - 216 |
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Main Authors | , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本移植学会
2019
日本移植学会 |
Subjects | |
Online Access | Get full text |
ISSN | 0578-7947 2188-0034 |
DOI | 10.11386/jst.54.4-5_211 |
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Summary: | 「I. はじめに」生体肝移植手術(LDLT)は年間400例近く行われ, 末期肝臓疾患患者の治療法として確立されている. 2017年の肝移植研究会の報告では, LDLT術後生存率は小児に比較し成人で有意に低く, 成人の術後1年生存率は82.2%であり, 特に周術期の死亡率軽減が課題となっている. 末期肝臓疾患患者では肝機能の悪化に伴い, タンパク低栄養や炎症性サイトカイン増加による慢性炎症および異化亢進状態にあるとされ, 筋肉量の低下および筋力, 身体機能が低下した状態であるサルコペニアの有病率が高いと言われている. 海道らはサルコペニアの有無がLDLT術後生存率に影響していると報告した. また, 末期肝硬変患者における6分間歩行距離(6MWD)は肝移植待機患者の予後予測因子であると言われている. その他にもいくつかの報告で, 移植前の運動耐容能は待機期間中および移植後の予後予測因子であると言われている. 近年, 消化器外科領域において術前からのリハビリテーションが行われるようになってきており, 術前介入での身体機能改善効果, 術後の早期回復への寄与が報告されている. |
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ISSN: | 0578-7947 2188-0034 |
DOI: | 10.11386/jst.54.4-5_211 |