膵癌に対する術前治療 グローバルな動向と日本が進むべき道

膵癌の治療成績は未だに不良であり,治療成績向上は急務である.手術前に化学療法または化学放射線療法を行う術前補助療法は,コンプライアンスが高いという特徴があり,膵癌の集学的治療の一翼を担うようになりつつある.欧米においても本邦と同様に,切除可能膵癌・切除可能境界膵癌に対する術前治療や,切除不能膵癌に対するコンバージョン手術が広く行われるようになりつつある.これまで高いエビデンスが無い領域であったが,近年,切除可能膵癌・切除可能境界膵癌に対する術前治療のエビデンスが世界中で創出されている.なかでもPrep02/JSAP05試験は,切除可能膵癌に対する術前治療の有用性を世界で初めて明らかにした.しか...

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Published in膵臓 Vol. 36; no. 4; pp. 251 - 256
Main Author 海野, 倫明
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本膵臓学会 31.08.2021
日本膵臓学会
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ISSN0913-0071
1881-2805
DOI10.2958/suizo.36.251

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Summary:膵癌の治療成績は未だに不良であり,治療成績向上は急務である.手術前に化学療法または化学放射線療法を行う術前補助療法は,コンプライアンスが高いという特徴があり,膵癌の集学的治療の一翼を担うようになりつつある.欧米においても本邦と同様に,切除可能膵癌・切除可能境界膵癌に対する術前治療や,切除不能膵癌に対するコンバージョン手術が広く行われるようになりつつある.これまで高いエビデンスが無い領域であったが,近年,切除可能膵癌・切除可能境界膵癌に対する術前治療のエビデンスが世界中で創出されている.なかでもPrep02/JSAP05試験は,切除可能膵癌に対する術前治療の有用性を世界で初めて明らかにした.しかしながら膵癌の治療は満足すべきものではなく,レジメンの改良や手術適応を判断するためのバイオマーカーの探索などの臨床研究が進んで行くものと思われる.
ISSN:0913-0071
1881-2805
DOI:10.2958/suizo.36.251