膵神経内分泌腫瘍に対するEUS下局所療法 エタノール注入療法,ラジオ波焼灼療法

膵神経内分泌腫瘍(PNEN)に対する最初のEUS下焼灼療法は,インスリノーマに対するエタノール注入療法であり,耐術能に乏しい患者の症状緩和目的に行われ,低血糖症状の改善を認めた.その後の症例報告でも有用性が報告され,15mm未満のものに対する症状緩和には有用な治療と考えられる.しかし,非機能性PNENにおける画像上の完全焼灼率は80%に届かない報告が多く,満足のいくものではない.ラジオ波焼灼療法は,エタノール注入療法よりも完全焼灼率が高いものの重篤な合併症が懸念される.EUS下焼灼療法が適応となる腫瘍サイズとして,リンパ節転移のリスクを考慮すれば15mm未満が基準になると思われるが,10mm未...

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Published in膵臓 Vol. 38; no. 4; pp. 229 - 237
Main Authors 松本, 和幸, 加藤, 博也
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本膵臓学会 31.08.2023
日本膵臓学会
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ISSN0913-0071
1881-2805
DOI10.2958/suizo.38.229

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Summary:膵神経内分泌腫瘍(PNEN)に対する最初のEUS下焼灼療法は,インスリノーマに対するエタノール注入療法であり,耐術能に乏しい患者の症状緩和目的に行われ,低血糖症状の改善を認めた.その後の症例報告でも有用性が報告され,15mm未満のものに対する症状緩和には有用な治療と考えられる.しかし,非機能性PNENにおける画像上の完全焼灼率は80%に届かない報告が多く,満足のいくものではない.ラジオ波焼灼療法は,エタノール注入療法よりも完全焼灼率が高いものの重篤な合併症が懸念される.EUS下焼灼療法が適応となる腫瘍サイズとして,リンパ節転移のリスクを考慮すれば15mm未満が基準になると思われるが,10mm未満で低悪性度のPNENについては積極的治療そのものの要否が議論になっている.いずれのサイズのPNENに対して,エタノール注入療法,ラジオ波焼灼療法,いずれの治療がよいか,さらなる検討が必要である.
ISSN:0913-0071
1881-2805
DOI:10.2958/suizo.38.229