冷刺激による舌乾燥ラット三叉神経脊髄路核尾側亜核ニューロンのERKのリン酸化

目的:口腔乾燥症の患者は原因不明の舌痛を訴えることが多いが,その発症機序は不明である.そこで本研究は,舌乾燥モデルラットにおける冷刺激に対する三叉神経脊髄路核尾側亜核(Vc)ニューロンの応答性の変化を明らかにすることを目的とした. 方法:イソフルラン浅麻酔下にてSprague Dawley系雄性ラットの舌を乾燥させ(2時間/日,7日間),舌乾燥モデルラットを作製した.侵害冷刺激に対する頭部引っ込め反射閾値(HWT)を記録するとともに,Vcにおいて侵害刺激に対するマーカーとして知られる抗phosphorylated extracellular signal-regulated kinase(pE...

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Published in日本口腔顔面痛学会雑誌 Vol. 14; no. 1; pp. 27 - 34
Main Authors 篠崎, 貴弘, 野間, 昇, 岡田, 明子, 岩田, 幸一, 小林, 真之, 中谷, 有香, 今村, 佳樹, 篠田, 雅路
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本口腔顔面痛学会 2022
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ISSN1883-308X
1882-9333
DOI10.11264/jjop.14.27

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Summary:目的:口腔乾燥症の患者は原因不明の舌痛を訴えることが多いが,その発症機序は不明である.そこで本研究は,舌乾燥モデルラットにおける冷刺激に対する三叉神経脊髄路核尾側亜核(Vc)ニューロンの応答性の変化を明らかにすることを目的とした. 方法:イソフルラン浅麻酔下にてSprague Dawley系雄性ラットの舌を乾燥させ(2時間/日,7日間),舌乾燥モデルラットを作製した.侵害冷刺激に対する頭部引っ込め反射閾値(HWT)を記録するとともに,Vcにおいて侵害刺激に対するマーカーとして知られる抗phosphorylated extracellular signal-regulated kinase(pERK)陽性細胞の発現を検索した.また,髄腔内へERKリン酸化阻害薬であるMEK阻害薬(PD98059)を持続投与し,HWTおよび抗pERK抗体陽性細胞の発現数の変化を解析した. 結果:舌乾燥によって侵害冷刺激に対するHWTは有意に低下した.また舌への侵害冷刺激によってVcにおいて抗pERK抗体陽性細胞数が有意に増加した.PD98059の髄腔内持続投与は,舌の侵害冷刺激に対するHWTの低下およびVcのpERK陽性細胞数の増加を有意に抑制した. 結論:舌乾燥に起因する舌の冷刺激に対する痛覚過敏にはVcの侵害受容2次ニューロンにおけるERKのリン酸化が関与していることが示唆された.
ISSN:1883-308X
1882-9333
DOI:10.11264/jjop.14.27