Liposomal-Amphotericin B の有効性および安全性の検討

Liposomal-Amphotericin B(L-AMB)はAmphotericin B(AMPH-B)のリポソーム化製剤として2006年6 月に上市された抗真菌薬で,我が国における本薬の薬効および副作用に関する知見の集積は少ないのが現状である.今回,2007 年4 月から2009 年2 月までに北里大学病院においてL-AMB が投与された患者に対する有効性および安全性についてレトロスペクティブに検討を行った.評価対象となった25 症例中,16症例に真菌感染症の改善が認められた.また,血清クレアチニン値の上昇した症例は1 症例,血清カリウム値の低下が認められた症例は6 症例であった.その詳...

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Published in感染症学雑誌 Vol. 84; no. 2; pp. 193 - 198
Main Authors 矢後, 和夫, 浜田, 幸宏, 瀬戸, 良教, 松原, 肇, 小松, 敏彰, 久米, 光, 砂川, 慶介
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本感染症学会 20.03.2010
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ISSN0387-5911
1884-569X
DOI10.11150/kansenshogakuzasshi.84.193

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Summary:Liposomal-Amphotericin B(L-AMB)はAmphotericin B(AMPH-B)のリポソーム化製剤として2006年6 月に上市された抗真菌薬で,我が国における本薬の薬効および副作用に関する知見の集積は少ないのが現状である.今回,2007 年4 月から2009 年2 月までに北里大学病院においてL-AMB が投与された患者に対する有効性および安全性についてレトロスペクティブに検討を行った.評価対象となった25 症例中,16症例に真菌感染症の改善が認められた.また,血清クレアチニン値の上昇した症例は1 症例,血清カリウム値の低下が認められた症例は6 症例であった.その詳細を検討したところ用量依存的に血清カリウム値が低下する傾向であった.さらに,投与日数と血清カリウム値との関係について,ロジスティック回帰分析を行った結果,血清カリウム値の低下は投与後5~6 日でそのリスクが高まることが示唆された.以上よりL-AMB は高い有効性を期待出来るものの,血清カリウム値のモニタリングを行い,それに対する臨床的対応に留意すべきということが示唆された.
ISSN:0387-5911
1884-569X
DOI:10.11150/kansenshogakuzasshi.84.193