菊池病69 例の臨床的検討
都立駒込病院で1998 年から2007 年までの10 年間にリンパ節の病理組織から菊池病と診断された69 例(日本人67 例,韓国人2 例)について臨床的検討を行った.男性34 例,女性35 例であり男女比はほぼ1: 1 であった.発熱は71%に認め,38 度以上の発熱は49%に認めた.リンパ節腫脹は頸部のみが90%,全身性は3%であった.4,000/µL 以下の白血球減少は50%に認めた.LDH,CRP の上昇がみられる症例もあった.フェリチン値は最高で2,580ng/mL,IL2 レセプター値は4,000U/mL となり高値を示す症例も散見された.フェリチン,IL2 レセプター値は特異度の...
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Published in | 感染症学雑誌 Vol. 83; no. 4; pp. 363 - 368 |
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Main Authors | , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本感染症学会
20.07.2009
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ISSN | 0387-5911 1884-569X |
DOI | 10.11150/kansenshogakuzasshi.83.363 |
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Summary: | 都立駒込病院で1998 年から2007 年までの10 年間にリンパ節の病理組織から菊池病と診断された69 例(日本人67 例,韓国人2 例)について臨床的検討を行った.男性34 例,女性35 例であり男女比はほぼ1: 1 であった.発熱は71%に認め,38 度以上の発熱は49%に認めた.リンパ節腫脹は頸部のみが90%,全身性は3%であった.4,000/µL 以下の白血球減少は50%に認めた.LDH,CRP の上昇がみられる症例もあった.フェリチン値は最高で2,580ng/mL,IL2 レセプター値は4,000U/mL となり高値を示す症例も散見された.フェリチン,IL2 レセプター値は特異度の低い検査であるが,これらが高値となる症例ではStill 病や悪性リンパ腫との鑑別に注意が必要であると考えられた.3 割の症例で自然軽快したが,4 割で非ステロイド系解熱鎮痛剤が使用され,3 割でステロイド治療が行われた.ステロイドはプレドニン換算0.5~1.0mg /kg で治療し以後漸減されたが,投与量,投与期間,適応については今後も検討が必要であると思われた.75%が3 カ月以内に軽快したが,6%は6 カ月以上の経過となった.全例で軽快したものの,8%に再発を認めた.再発した6 例の検討では1 回目の有病期間から再発のしやすさや再発までの期間は予測が難しいと考えられた.また無菌性髄膜炎の合併が2 例,SLE の合併が2 例に見られた.SLE を合併した2 例のうち,1 例はSLE が先行し,もう1 例は本リンパ節炎の改善後にSLE を発症した.今回の検討から本疾患は幅広い臨床的特徴が見られることが判明した.症例によっては臨床症状,検査値から悪性リンパ腫などとの鑑別が困難であるため,リンパ節生検による確定診断が重要である.現時点では再発例を予測することは困難であると考えられ,このことを念頭に入れた診療が重要である. |
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ISSN: | 0387-5911 1884-569X |
DOI: | 10.11150/kansenshogakuzasshi.83.363 |