急速に大腿から腹部まで進展した壊死性筋膜炎に対し股関節離断を回避し社会復帰した一例
壊死性筋膜炎の死亡率は高く, また18.4%の症例で患肢切断が選択され, 機能予後も不良となりやすい. 今回, S.pyogenesによる若年女性の急速に進行する下肢壊死性筋膜炎に対して, 患肢を切断せずに温存した症例を経験した. 来院後, 速やかに患肢の大腿近位部に対してデブリードマンをしたが, 感染範囲拡大の為, 同日にデブリードマンを追加した. 感受性が判明し次第, ペニシリンGに変更した. その後, 炎症が下腹部に波及し股関節離断術検討されたが, 患者のQOLおよび股離断の予後が不良であるため, 整形・泌尿器・消化器・婦人科合同の徹底的なデブリードマンを行い, 患肢を温存した. 多剤耐...
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Published in | 日本救命医療学会雑誌 Vol. 37; pp. 7 - 13 |
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Main Authors | , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本救命医療学会
2023
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Subjects | |
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ISSN | 1882-0581 2758-1055 |
DOI | 10.57329/jsccm.37.0_7 |
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Summary: | 壊死性筋膜炎の死亡率は高く, また18.4%の症例で患肢切断が選択され, 機能予後も不良となりやすい. 今回, S.pyogenesによる若年女性の急速に進行する下肢壊死性筋膜炎に対して, 患肢を切断せずに温存した症例を経験した. 来院後, 速やかに患肢の大腿近位部に対してデブリードマンをしたが, 感染範囲拡大の為, 同日にデブリードマンを追加した. 感受性が判明し次第, ペニシリンGに変更した. その後, 炎症が下腹部に波及し股関節離断術検討されたが, 患者のQOLおよび股離断の予後が不良であるため, 整形・泌尿器・消化器・婦人科合同の徹底的なデブリードマンを行い, 患肢を温存した. 多剤耐性P.aeruginosaが創部から検出されたが, 全身状態, 創部状態の悪化がなく定着と判断し抗菌薬を温存することで, さらなる耐性菌の出現を防ぎ植皮術を施行できた. 本邦の報告では, 下肢から体幹へ感染が進展した症例のうち, 切断せずに救命できた症例は存在しなかったため, 下肢を温存して社会復帰しえた壊死性筋膜炎の一例を経験したので報告した. |
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ISSN: | 1882-0581 2758-1055 |
DOI: | 10.57329/jsccm.37.0_7 |