Real-time PCR法を用いた血液培養からのMRSA迅速診断法の検討
メチシリン耐性黄色ブドウ球菌methicillin-resistant Staphylococcus aureus(MRSA)は院内および市中感染型の感染症を引き起こす薬剤耐性菌として問題となるが,特に血流感染症は患者の予後の悪化や医療コストの増大を招く点で臨床的に重要である.MRSA の正確かつ迅速な検出が不可欠であるが,培養法を含む従来の検査法では感度や培養時間など種々の問題点があった.我々はreal-time PCR 法を用い検体から直接MRSA が検出可能なBD GeneOhm MRSA Detection Kit(日本BD)について基礎的検討を行ってきたが,今回血液培養ボトルから直接...
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Published in | 感染症学雑誌 Vol. 84; no. 2; pp. 199 - 205 |
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Main Authors | , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本感染症学会
20.03.2010
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ISSN | 0387-5911 1884-569X |
DOI | 10.11150/kansenshogakuzasshi.84.199 |
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Summary: | メチシリン耐性黄色ブドウ球菌methicillin-resistant Staphylococcus aureus(MRSA)は院内および市中感染型の感染症を引き起こす薬剤耐性菌として問題となるが,特に血流感染症は患者の予後の悪化や医療コストの増大を招く点で臨床的に重要である.MRSA の正確かつ迅速な検出が不可欠であるが,培養法を含む従来の検査法では感度や培養時間など種々の問題点があった.我々はreal-time PCR 法を用い検体から直接MRSA が検出可能なBD GeneOhm MRSA Detection Kit(日本BD)について基礎的検討を行ってきたが,今回血液培養ボトルから直接MRSAを検出した場合の検討を行った.本法の原理上の特徴はMRSAのmecA ではなくstaphylococcal cassette chromosome mec(SCCmec)上の配列を標的として測定することにある.陽性血液培養ボトルのうち鏡検で集塊状のグラム陽性球菌が認められた138 例について培養法と比較した検討では感度,特異度,陽性的中率,陰性的中率はそれぞれ100%,97.3%,90%,100%と極めて良好な結果であり,陽性当日中のMRSA 判定が可能である.methicillin-susceptible S. aureus(MSSA)では 27 例中3 例偽陽性が認められ,mecA を欠いたSCCmec/orfX 領域を検出している可能性が示唆された.また同時に検討した直接コアグラーゼ試験は対費用効果に優れ,本法との併用でMSSA 判定も可能となり早期に標的治療が可能となる.MRSA 血流感染症の迅速診断は患者の予後の向上,医療費の削減をもたらすと期待されるが,本法はより適切な診断と治療に貢献できると思われる. |
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ISSN: | 0387-5911 1884-569X |
DOI: | 10.11150/kansenshogakuzasshi.84.199 |