SMA ダブルディスク法を用いたスクリーニング検査が陰性のVIM-1型メタロ―β―ラクタマーゼ産生Pseudomonas aeruginosaによる アウトブレイク

2007 年9 月から2008 年7 月の期間に,当院において入院患者35 名におよぶVIM-1 型メタロ―β―ラクタマーゼ(MBL)産生Pseudomonas aeruginosa のアウトブレイクを認めた.分離菌の薬剤感受性は全株がペニシリン系薬,セフェム系薬,カルバペネム系薬,フルオロキノロン系薬に高度耐性を示し,amikacin に感性または中等度耐性(8~32 μg/mL)であった.分離菌全株はメルカプト酢酸ナトリウム(SMA)ディスクによるMBL スクリーニング検査が陰性であったが,MBL 検出用プライマーセットを用いたPCR 法でVIM-1 型MBL 遺伝子を認めた.パルスフィー...

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Published in感染症学雑誌 Vol. 84; no. 6; pp. 721 - 726
Main Authors 竹川, 啓史, 荒川, 宜親, 江藤, 正明, 山根, 一和, 春田, 恒和, 三木, 寛二, 林, 三千雄
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本感染症学会 20.11.2010
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ISSN0387-5911
1884-569X
DOI10.11150/kansenshogakuzasshi.84.721

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Summary:2007 年9 月から2008 年7 月の期間に,当院において入院患者35 名におよぶVIM-1 型メタロ―β―ラクタマーゼ(MBL)産生Pseudomonas aeruginosa のアウトブレイクを認めた.分離菌の薬剤感受性は全株がペニシリン系薬,セフェム系薬,カルバペネム系薬,フルオロキノロン系薬に高度耐性を示し,amikacin に感性または中等度耐性(8~32 μg/mL)であった.分離菌全株はメルカプト酢酸ナトリウム(SMA)ディスクによるMBL スクリーニング検査が陰性であったが,MBL 検出用プライマーセットを用いたPCR 法でVIM-1 型MBL 遺伝子を認めた.パルスフィールドゲル電気泳動法による分離株の相同性は85%以上で,同 一の菌株に由来するクローンである可能性が高いこと,日本ではこれまで分離されたことのないVIM-1 型MBL 産生株であったことに加え,疫学的な調査を行った結果,本事例はVIM-1 型MBL 産生P. aeruginosa によるアウトブレイクと判断された. 本事例では多剤耐性緑膿菌(MDRP)やMBL のスクリーニングだけでなく日頃から薬剤耐性パターンを監視していたことがアウトブレイクの早期発見につながったと考えられた.
ISSN:0387-5911
1884-569X
DOI:10.11150/kansenshogakuzasshi.84.721